セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

「お母さん お父さんのための水道方式入門」を書く
  これから しばらくは、「お母さん お父さんのための水道方式入門」を書こうと思います。

  水道方式は、 とても素晴らしい 算数 数学の 指導法です。

  僕は長年 学習塾で、その方式にのっとった 指導をしてきました。

 それについての 僕なりの入門書を思うのです。

  現在も、水道方式についての本はアマゾンで手に入れることができます。 でも これらの本はちょっと 襟を正して じっくり読むという感じ。

 それよりも 簡単なアウトラインだけでいいから知りたい人も多いと思います。
  そういう人のための本があればいいのにと思ったからです。

 ぼくは、水道方式について、専門的 な 教えを受けたことはありません。まったくの独学です。

  僕よりもそれを書くのにふさわしい人は多いと思いますが、そういう本がいまはないので 僕でもいいかな という軽い気持ちで書くことにします。あくまでも 僕なりの水道方式です。

 もっと専門的に知りたい人は別の本に進んでください。

 書き終わったら、アマゾン・キンドルから出版するつもりです。

 きょうは、まえがきということで、以上。
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水道方式の開設者、遠山 啓(とおやま ひらく)
 水道方式の開設者は、遠山啓(とおやま ひらく)氏です。

 1909年(明治42年)生まれ、1979年(昭和54年)没です。享年70。
 東京工業大学の教授で、専門は数学です。

 小島 寛之 (著)「数学でつまずくのはなぜか 」(講談社現代新書)には次のような話が載っています。

 1958年ごろのことです。遠山氏の娘さんが算数が分からないと、苦しんでいました。よくあることですね。

 数学者でもあるお父さんは、娘さんを教えてあげようと、教科書を読みます。そこで、娘が算数に苦しむのは、娘の理解力が悪いのではなく、算数の教科書が悪いのだと気づきました。

 それで、だれでもが分かるようにするために、算数、数学の教え方を研究するようになります。

 そして、開発したのが「水道方式」です。 遠山啓氏が開発し、その他多くの人の協力を得て、水道方式を発展させてきたのです。

 ウィキペディアには
「1944年から1950年ごろから数学教育に関心を持つようになり、1951年(昭和26年)、数学教育協議会(数教協)を結成し、長くその委員長として、小中学校の教育現場での数学教育を指導」

 とあるので、娘さんが算数で悩む姿を見る前から数学教育には関心があったのでしょうね。

理解することを重視する水道方式
 水道方式の最大の特徴は、 理解すること、わかることを重視することだと僕は思っています。

  算数や数学では、 理解しなくても出来ることが少なくありません。

  分数の割り算は、ひっくり返して掛け算にする、 (マイナス)×(マイナス)=(プラス) など、 何故かが分からなくても、それさえ覚えれば計算できます。テストで正解になります。

  でも、 それをきちんとなぜそうなるのか 説明するのが 水道方式です。

 「数学は暗記だ」という人がいます。公式や解き方を暗記して、解ければいい、というのです。

 水道方式はそれを否定します。なぜそうなのか理解して学習するのです。

 これまで学んだことと、 新しく学ぶことがきちんと 隙間なくつながっていく ようになっているのです。

  理解して分かった上で できるようになる、 というのめざすのです。

  そのためにいろいろ工夫しています。
  難しい説明ではなく 子ども達でも分かるように 工夫して学習することができる、 それが水道方式です。

水道方式の教え方の最大特徴は、タイルを使うこと
 水道方式の最大の特徴は、 理解すること、わかることを重視することだと書きました。

 具体的に、水道方式がどのように教えているのかという観点から考えると、最大の特徴は、タイルを使うことです。
 タイルというのは、ここでは正方形の片のことです。厚紙で作っても、薄い板で作ってもかまいません。それを操作しながら、算数、数学を理解するのです。

 なぜ、タイルか。円ではなぜいかないのか。

 それは、タイルだと簡単につなげることができるからです。
 円は並べることはできますが、つなげるのは難しいです。

 タイルだと、10個並べてつなぎ、そして境目を消すと1本になります。
 それが算数の理解を助けます。

 円などではできないことです。

タイル1


n進法とは
 現在、ぼくらは主に10進法をつかっています。10進法を理解するには、タイルが有効です。

 その説明に入る前に、n進法とは何かの説明をします。

 n進法とは、数がn集まるとまとまって、上の位の1になるというものです。

 例えば、1秒が60集まると60秒で、1分になります。60進法です。
 そして、1分が60集まると、60分で1時間。
 それが24集まって1日、そして1ヶ月、1年、1世紀になります。
(途中から60進法ではないですね)

 1つにまとまるというのが大切です。
 集まって上の位に進みます。上の位というのは、時間でいえば、秒→分→時間→日→年→世紀 というものです。

 十進法の場合は、10集まるとまとまって上の位になります。

 1が10集まると10で、1十。(こんな書き方はふつうしません。ただ、十は10がまとまって、ひとかたまりになるということを強調してそう書いています。1秒が60集まって60秒で1分になるように)

 そして、1十、2十(十が2つ)、3十(十が3つ)・・・・となり、
10十(十が10)で、1百になります。

 さらに、1百、2百(百が2つ)、3百(百が3つ)・・・・となり、
10百(百が10)で、1千になります。

 そして、10千が1万に、つづいて1十万、1百万、1千万、1億・・・・となります。

 このようにn集まると1まとまりになって上の位の1になるというのがn進法です。




タイルで10進法
 前の記事では、n進法について書きました。
 1がn個集まると、まとまって1になり上の位になるのでしたね。

 1が10集まってまとまって1になり上の位になるのが、10進法です。
 
 それをタイルで説明すると分かりやすいです。

 タイルが10個あります。それをたてに並べます。10個のタイルですね。
 その境目を消します。

 すると、1本のタイルができますね。十のタイル1本です。
tairu1.jpg

 10個のチョコレートのタイルをたてに並べ、紙につつむと境目が見えなくなります。そのような感じで境目を消したのだと子どもたちに説明すれば分かりやすいです。

 一のタイル10個と十のタイル1本は、数てきに等しいことは目で見て分かります。

 ただし、ばらばらのタイルと1本にまとまったタイルでちがいがあることも分かります。まとまって1になるのです。

 また、一のタイルは1個、2個と「個」で、十のタイルは1本、2本と「本」で呼ぶことにします。

 1秒、2秒が1分、2分、そして1時間、2時間と変わったようなものです。

 さて、十のタイル10本で10十。それの境目を消すと、1百のタイルになります。
 10十で1百です。十のタイル10本で、百のタイル1枚です。
tairu2.jpg

 「本」が「枚」になります。

 10枚の百のタイルで10百。境目なしで1千。
1千のタイルは長いので、扱いにくいです。それで巻きます。
 それで1巻、2巻と「巻」を使って表します。
tairu3.jpg

 10巻の千のタイルで10千。境目なしで1千。
1万のタイルは大きすぎます。実際にその大きさで扱うのは難しいです。

 ぼくの塾はセルフラーニングで、テキストでの指導でした。大きな万のタイルをそのまま描くことはできません。縮小するよ、ということで導入しました。

 その前に教室では、縮小しない1枚の大きな万のタイルを作って見せるのはいいことでしょうね。

 1万って、こんなに大きいんだ、というのを感じてもらうのは大切です。

部屋の位置で位取り
 算用数字では、位置で位を表しますね。
 一番右が一の位、その左が十の位、その左が百の位です。
 なお、ここでは、整数で考えています。

 333の場合、同じ3でも百の位の3,十の位の3,一の位の3では意味が異なります。

 タイルで333を表すと次のようになります。
333タイル

 これを見ると、同じ3でも、大きさがまったくちがうことがよく分かりますね。

 タイルでは、位取りは部屋で説明します。
 一のタイルの部屋、十のタイルの部屋、百のタイルの部屋というように。
 一のタイルの部屋には一のタイル、十のタイルの部屋には十のタイル、百のタイルの部屋には百のタイルが入ります。

 そんなことは、説明するも必要もなく、当たり前だろうと、ぼくら大人は考えがちです。

 でも、考えてみてください。
 漢数字では、位は一では表していません。
 333は、漢数字では三百三十三です。
 百の位の数には百、十の位の数には十をつけて表すのであって、位置で表すのではないのです。

 位取りを位置で表すには、「0の発明」が必要です。それについては後で書きます。
 漢数字に「零」というのがありますが、ふつうは使いませんね。

 とにかく、この節では、333では、同じ3でも意味がちがうこと、
その違いはタイルを使うと子どもでもすぐに分かることを知ってもらえばいいですね。

位取りと0の発明
 算用数字の位取りは、位置で表すことを前の節で書きました。

 三百は、300としますね。3百の3は百の位に置かなければいけません。
 すると、一の位、十の位はどうするかという問題が出てきます。

 もちろん、0をおけばいいのですね。小学2年以上の人には常識です。

 そこで、0の発明(発見といったほうがいいのかもしれませんが)が必要になります。

 漢数字では、0はなくても位取りはできます。三百とすればいいのですから。

 タイルで表すときには、部屋を使ってまず説明します。
 次が、タイルで表した三百です。
300のタイル

 一のタイルの部屋、十のタイルの部屋は空いています。なにもないのです。
 なにもないのは「0」で表すことにしたのです。0の発明です。
 ということで、理解しやすいですね。

 分かり切ったことを、なぜこんなに難しく考えるのだ、と言われそうですが、子どもたちにとっては、それが難しいようなのです。それは、次に。


0は、難しい
 0は難しいです。

 ぼくらは、100万などという数字は、切れがよくて扱いやすいと感じます。
 100万+200万=300万 というのは簡単にできます。

 しかし、実際には、0は難しいのです。

 例えば、二百三十四万五千六百七十八を算用数字に直せ、という問題では、
 そのまま漢数字を算用数字に直して、
 2345678にすれば、それでいいですね。

 ところが、二百万三百を算用数字に直せ、という問題になると、
 2と3という数字が入ることは分かりますが、それをどう表すのか、とても難しいです。
 小学3年生では、そのようなことをしますが、間違いが多い。

 2と3を適切が位置に置くために、0を使わなければいけないからです。

 2000300になりますね。ぼくら大人でも、0の数を数えながら確認しなければいけません。

 0の発明によって、位置による位取りができるようになり、いろいろと便利なこともたくさんできましたが、ある意味では難しくなっているのです。

9664÷8=128 ??? 0は、やはり難しい
 0は難しいことをもう1つ。

 9664÷8=128 として間違える生徒が少なくありません。
 中学生でもそうです。

 文章問題で、式をちゃんと立てて、最後の計算で間違えるのです。

 9664÷8=1028 ですね。0が立つところを抜かしてしまいます。

 そういう指導では、 次のように数字の間隔を空けて、たての棒をいれてさせると、たいていは自分でできます。

9664.jpg

 このように、0が入ると難しくなるのです。引き算、掛け算でもそうです。

 1000-3ができない中学生もいます。 

0を考え、型に分ける水道方式
 0が難しいことを書いてきました。

 0が難しいので、教えるときには、0の扱いに注意する必要があります。

 それで、水道方式では、0がどの位置に来るかで、型(パターン)に分けます。

 繰り上がりのない、2けたの足し算では、

(1) 22+22の型
 水道方式は筆算主義です。縦書きにして、次のように表したほうがいいのですが、ブログに書くのは少し面倒なので、横書きで理解してください。
 22
+22

 これは、0が入らない計算です。
 1の位同士、10の位同士を足せばいいですね。

そして、
(2)22+20の型、
 足す数の1の位が0です。

(3)20+22の型、
 足される数の1の位が0です。

(4)20+20の型、
 足す数、足される数、どちらの1の位も0です。

(5)22+2の型、
 足す数が1けたの数です。これは10の位が0と考えます。

(6)2+22の型、
 足される数が1けた、10の位が0です。

 ぼくらにとっては、(5)(6)の計算の方が簡単ですね。
 だから、(6)→(5)→(4)→(3)→(2)→(1)
 と教えたくなります。

 でも、位取りが定着していない生徒は、逆です。(6)のほうが(1)より難しい。

 それで、水道方式では、
 (1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6)
 の順に教えていきます。

 このように、0の位置によって計算の型(パターン)に分け、教える順序を考えるのです。0の入る計算は後で教えます。

 その教え方の特徴によって、「水道方式」という名前がつけられました。
 それについては、後の節で。

「水道方式」という名前
 この記事では、水道方式という名称について書きます。

 これまで、0は難しいこと、そして、0の位置による計算のパターン(型)、教える順序について書いてきました。

 その教える順序が戦後普及していった上水道に似ているということで、「水道方式」という名になったそうです。最初は仮称だったのが、正式な名称になったとか。

 上水道の水は、水源である貯水池から、中継池をへて、各家庭に届きます。
 上から下へ、水が流れていくという感じです。

 前の節で紹介した二位数+二位数では、
 22+22型、つまり0が入らないのを一般的な型とします。それが水源にあたります。

 それを出発して、22+20のような0の入った特殊な型に流れていきます。

 一般的な型から特殊な型に流れていく、それが水源から各家庭に流れていく「水道」に似ているというのです。

 戦後すぐのころです。水道によって、人々のくらしが楽になる、という期待は高かったようです。

 それが、水源から各家庭に流れるように、子どもたちが自然に無理なく算数、数学を学んで欲しいという願いと似ているのでしょうね。


因数分解と水道方式
 東京書籍の教科書「新しい数学3」の因数分解を見てみます。

 まず、共通因数でくくる因数分解がでtきます。。
 ax+ay=a(x+y)

次に、x²の係数が1のものを教えます。
  x²+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)

そして、平方公式
  x²+2ax+a²=(x+a)²
  x²-2ax+a²=(x-a)²

平方差の公式
  x²-a²=(x+a)(x-a)

 そして、平方公式、平方差に関しては、発展として
  a²x²+2abx+b²=(ax+b)²
  a²x²-2abx+b²=(ax-b)²
  a²x²-b²=(ax+b)(ax-b)
 に進みます。

さて、水道方式では一般的な計算を教えてから、特殊な計算に移っていくのでした。

 ところが上であげた因数分解はすべて特殊なものです。
 水道の水源にあたる一般的な因数分解が教科書にはありません。一般的な因数分解を教えていないのです。

 因数分解の一般的なものは
   abx²+(ad+bc)x+cd=(ax+c)(bx+d)
  です。
 高校で、いわゆる「たすきがけ」のやり方でやる方法です。

  abx²+(ad+bc)x+cd=(ax+c)(bx+d)
  のa=b=1 にすると
  x²+(d+c)x+cd=(x+c)(x+d) になり、x²にの係数1の因数分解になります。 特殊型ですね。

 さらに
  a=b=1 ,d=c にすると
  x²+2cx+c²=(x+c)² になり、平方公式になります。
 
また、a=b=1 ,d=-c にすると
   x²-c²=(x+c)(x-c) になります。

  abx²+(ad+bc)x+cd=(ax+c)(bx+d)
  で、c=0 とすると
  abx²+adx=ax(bx+d) となり、共通因数でくくるの因数分解です。

  中学の教科書で学ぶ因数分解はすべて特殊型だというのは理解していただけたでしょうか。

 たすきがけの一般的な因数分解は確かに難しいです。でも、やはり一般的なのを教えてから、特殊型に移ったほうがいいのです。

 それについては次回に書きます。

因数分解も、やはり一般公式から
 因数分解の一般公式は難しいです。たすきがけでやる因数分解です。

 それに比べると、特殊な因数分解(x²の係数が1の因数分解、平方公式、平方差の公式)のひとつ一つは楽です。

 でも、やはり一般公式から教えた方がいいのです。
 一般公式ができるようになれば、特殊な因数分解は全部できます。

 特殊な因数分解を解くためには、まずそれぞれの解き方(3種類)を覚えなければいけません。その上に与えられた問題がどのパターンなのかを判断しなければいけません。

 特殊な因数分解ひとつ一つは簡単なのですが、それをすべて使い分けるのは難しいのです。
 それよりも、与えられた因数分解をすべて一般公式で解くほうがずっと楽なのです。

 特に数学を苦手に思っている生徒にとってはそうです。

 ぼくも長年、特殊な因数分解を中心に指導してきました。
 ところが、後では数学の苦手な生徒には、一般公式ですべてやってもいいんだよ、と指導するようになりました。

 そうすると、その生徒は因数分解が解けるようになり、生き生きとなっていました。

 水道方式の一般から特殊へ、はとても有効だと感じたものです。

 一般公式は難しいのですが、ていねいに教えれば数学の苦手な生徒でもできるようになります。
 ぼくは表を使って教えますが、それは水道方式とはちがうので、別の記事で。

半抽象物のタイルで抽象的な数を理解
数は、とても抽象的

 象が3頭で、3 です。
 ねずみが3匹でも、3です。

 象3頭とねずみ5匹では、数の上でねずみが多いです。

 象とねずみを並べて、1対1対応させれば、ねずみがあまりますね。

 数には、それには大小のちがいはないのです。
 形もありません。

 また、りんごも3個で、3です。

 3というのに、色もにおいも味もありません。

 数は、いろいろなものを切り捨てて、数だけを残したものなのです。
だから、数そのものは、見えないのです。

 そういうのを「抽象」といいます。
 数はとても抽象的なものなのです。

 りんご、象などの具体物がある一方で、数という抽象なものがあります。

 具体的なりんごで話を進めると、目にみえるので分かりやすいことは分かりやすい。

 でも、形、大きさ、色などがくっついているので、それが違ったらどうなるのか、と考える子どもがいるかもしれません。

 りんご2個と3個で5個、2個+3個=5個 だということは分かった。
 でも象2頭と3頭でいくらになるのかは、また新たに確かめなければいけない。

 大きさ、形、色などで、どうなるか分からない。

 象、ねずみ、りんごなどの具体物があり、一方に数という抽象物があることは分かりましたね。

 具体物で話をすると、見えるので分かりやすいのですが、具体的すぎます。
 色、形、大きさが気になります。

 逆に、数は見えないので分かりにくい。

 それで、水道方式では、その間に「タイル」という半抽象物を入れるのです。

 目に見える半抽象物のタイルを操作して、数を理解し、それをいろいろな具体物に応用するのです。

数え主義批判と集合数

 水道方式では、それまで行われていた数え主義を批判します。


 子どもが「1,2,3,4,・・・・10」と唱えることができると、親は「10まで言えた、この子は10まで理解できた」と喜びますね。


 でも、それは10まで理解したとは言えません。ただ、順序を覚えただけです。

 意味も分からずにお経を唱えることができたのと同じです。


 1の次が2,その次が3,・・・・というように。


 1番目、2番目、3番目・・・・と言えたのです。


 それが数え主義のはじめですね。順序数です。

 そして、それをもとにして、算数の指導をします。


 3+2では、「3,(そして) 4,5」というように、3から2つ進めると5になるから

 3+2=5 になる、というように計算します。


 5-2は「5,(それから)4,3」と2つ後退させて

 5-2=3 とします。


 それに対して、水道方式では集合数で教えていきます。


 □は1,□□は2,□□□は3 というようにです。

 1個あると1,2個あると2,3個あると3 です。


 3+2は、□□□と□□で□□□□□ 

 3個のタイルと2個のタイルをあわせると5個のタイル

 だから、3+2=5


 5-2 は□□□□□から□□とると □□□

 5個のタイルから2個のタイルをとると3個のタイル

 だから5-2=3


 タイルを操作することにより、目で見て理解することを水道方式では重視するのです。



水道方式は 暗算ではなく 筆算 中心
 水道方式は 暗算ではなくて 筆算中心の計算を指導します。

  暗算ができるのは 確かに、かっこいいですよね。

  以前 そろばんがかなり高段の生徒が一人いました。
  黒板に 5桁か6桁の数字を いくつも書きならべて 彼に足し算をさせると、 しばらくジット 黒板を見つめて後、正しい答えをみちびき出していました。
  かっこいいなと思ったものです。 生徒たちも感心していました。

  でもそこまでできるようになるには かなりの練習が必要でしょう。

  多くの生徒は 暗算でやるよりも筆算で正確に答えをみちびくようにした方がいいのです。

 1桁2桁の簡単なものなら暗算でできますが、けた数が多くなると どうしても筆算になります。

 それなら、 最初から筆算できちんと答えをみちびき出すようにした方がいいのですね。
 水道方式で書かれている1年の問題集(麦の芽出版のたのしい算数)を見ると、
3+9といった繰り上がりのある足し算からたてがきの筆算を指導しています。

  中学生で単純なミスをする生徒がいます。

 ぼくは「暗算でまたやっただろう、筆算でやりなさい」 とよく注意したものです。

 筆算の方が正確に 計算できます。

  問題は正しい答えをみちびくことです。 暗算でやって 間違えた答えを出したら、元も子もありません。

 数の仕組みをきちんと理解しながら、筆算で計算したほうがいいのですね。

水道方式、繰り上がりの計算
 これまで、水道方式の特徴を大きな目で見てきました。

まず、理解を重視する
タイルをもちいる
一般から特殊に
数え主義批判で集合数
暗算ではなく、筆算中心

 というものでした。

 これから、具体的にぼくが感心、感動した指導法を思い出して書き出そうと思います。

 10進法をタイルであらわすことは前に書きました。あれも感動したものです。

 ここでは、繰り上がりの足し算です。

 4+8 をタイルで表します。

 タイル4個とタイル8個を合わせるのですね。
 5のタイルも1まとめにするので、8個のタイルは図のようになります。

 まず4個のタイルと8個のタイル。

 合わせると、10個のタイルと2個のタイルになります。

 この10個のタイルがまとまって、1本の10タイルになるのです。

 10タイルになると10の位にあがるのです。
kuriagari.jpg

 どうでしょうか。位があがるのが、目で見て理解できますね。

ここで肝心なのは、1のタイル10個が1つのまとまった10のタイル1個になると、10の位にあがるということです。

 それをタイルを実際に操作する中で、体で覚えたらいいですね。

水道方式、繰り下がりの計算
 前回は、繰り上がりをしたので、今回は繰り下がりです。
 基本的に、同じなので、想像はつくでしょうが、確認のために。

 12ー4をします。

 十のタイル1本と一のタイル2個から、一のタイル4個を取るのです。
 そのままでは取れませんね。

 それで、十のタイル1本を一のタイルにくずします。
 すると、取れますね。

 残りは8個
 だから12-4=8
12-4.jpg


 十のタイルを一のタイルにくずすのがポイントです。

 財布に千円札1枚、百円コインが2枚。400円を支払う。おつりはないものとします。

 千円札を百円コイン10枚に両替し、くずしてから支払いますね。
 それと似ています。

 十のタイル1本を一のタイル10個にくずすというのを、実際に手を使って操作をして、くり下がりを体感してもらいたいです。
 

水道方式のかけ算九九の導入
 水道方式のかけ算九九の導入にはじめてふれたときは、感心を通り越し、感動した記憶があります。

 ただ、最近はその方式が教科書でもだいぶ取り上げられてきているようです。
 まあ、いいことですね。

 ただ、もともとは水道方式のやり方だったとぼくは思いますので、ここで取り上げます。

 記憶ですが、ぼくが小学生のときに、かけ算九九を習った方法は次の通りでした。

 2+2+2=6 
 だから、2×3=6

 けっして間違いではありません。十分に理解できます。

 さて、水道方式では、
 1羽のうさぎの耳は2本。うさぎが3羽。耳は何本? 答えは6本。
 だから、2×3=6

 三輪車が4台。車輪はいくつ?
 3×4=12

 馬が3頭。あしは何本。 4×3

 手が2本。指は何本  5×2

 せみのあしは1匹に6本。 4ひきでは足の数は?  6×4

 ナナホシテントウ虫が3匹。星の数は? 7×3

 たこのあし。1ひきに8本。 3ひきでは?

野球では、1チーム9人。2チームでは?

 おもしろいのは、1の段と0の段。
 ぞうのはな。5頭でははなは何本?

 へびのあし。4匹では何本。  0×4=0  ですね。
 かえるのへそでもいいです。
 人間のしっぽでも。

 どうでしょうか。目に浮かぶようで、すぐに理解できますね。

 

タイルでかけ算九九
 タイルで、4×3を表すと図の通りです。

 1皿に4個のタイル、それが3皿だと、タイルは12個。
 それをつなげると、次の通りの長方形になります。
4x3.jpg


 さて、タイルでかけ算九九です。

 かくしている部分をずらしていきます。
4nodan.jpg

 すると、4×1=4,4×2=8,4×3=12,4×4=16 といのが分かりますね。
 ただ数字を暗唱するだけではなく、タイルを数えると答えが出てきます。

 そこからかけ算の意味が頭にしっかり入っていくのです。
 かけ算九九の意味が、目で見て理解できるのです。

 4×5=20 以下は、5をひとまとめにしたら、数えやすいですね。
 5が2つで10。
4x5.jpg

 10円玉20個は一目で分かりませんが、50円玉4個はすぐに200円と分かります。


2けた×2けたのタイル算
 水道方式、「2けた×2けたのタイル算」も見事です。

 まず簡単に3×4のタイル算から。

 たてにタイルを3個、横にタイルを4個ならべます。
 そして、タイルの境を延長して縦、横の線をいれると次の通り。
3x4.jpg

 12個のタイルができますね。
 だから、3×4=12 

 かけ算が、目で見て分かります。

 それでは、2けた×2けたのタイル算。
 23×34 をしています。

 縦に長~く23のタイルを並べます。
 十のタイルを2本、一のタイルを3個。

 そして、横に長~く34のタイルを並べます。
 十のタイルを3本、一のタイルを4個。

 そして、タイルの境を延長させて、長方形を描きます。

 すると次の通り、
23x34.jpg


 百のタイルが6枚で600、
 十のタイルが、9本と8本で17本で170。
 一のタイルが12個で12

 600と170と12を加えると、782

 目で見て、数えて答えを出すことができます。

 2けたのかけ算って、こういうものなのか、というのが実感できるはずです。

 ぼくは、計算のしかたしか教わらなかったと思います。

 だから、23×34を計算はできるのですが、実感が伴わないのです。
 タイル算をすれば、どういうものだとしっかり理解できますね。

 できるだけではなく、分かってできる、それが水道方式です。



わり算のタイル算
 23÷3をタイルでやってみます。

 23は、十のタイル2本と一のタイル3個。

 そのままでは3つに分けることができません。

 それで、十のタイル2本を、五のタイル3本と一のタイル5個と交換します。

 すると、次のように3つに分けることができます。
23w3.jpg

 23のタイルを子どもに与えて、3つに等しくなるように分けてごらん、タイルは交換してもいいよ、ということで実際にさせたらいいですね。

 セルフ塾ではそのような余裕はなかったのですが、自分で考えて操作することは大切だと思います。



約分の概念もタイルでばっちり
 分数を円を用いて説明することがありますね。
 導入部分では、円でもタイルでもそれほど差はないように感じます。

 でも、約分の導入では、タイルでないとできないわざがあるのです。
 これも感動します。

 左は3/6 のタイル。いいですね。
 そのたての2本のしきりをとると、1/2に変身です。
yakubun_20160429094143a2e.jpg

 3/6と1/2 の大きさが等しいことは目で見てすぐに分かります。

 3/6が1/2のようになるのが、約分です。
 大きさは等しくて、できるだけ小さな数で表すのです。

 これは円ではできないでしょう。




通分もタイルで、すっきり
 通分もタイルで簡単に理解できます。

 2分の1と3分の1.
 2分の1のタイルに2本縦棒を入れると、6分の3
 3分の1のタイルに1本縦棒を入れると、6分の2
tubun2.jpg

 6分の3と6分の2になったので、大きさを比べることができますね。

 2分の1(6分の3)の方が、3分の1(6分の2)より、6分の1大きいのです。

 通分すると足し算もらくらくです。
 次の図を見たら、説明は不用ですね。
tubuntasizan.jpg

 通分する意味も分かるはずです。


帯分数、仮分数の理解もタイルですっきり
 帯分数を仮分数に直したり、逆に仮分数を帯分数に直したりすることがよくありますね。

 機械的にやりかただけを覚えていたら、しばらく後でどうやるのだったか思い出すのが大変です。

 ちゃんと意味を理解していれば大丈夫です。

 タイルで表すと、 2 ⅓(2と3分の1)は、一のタイル2個と、3分の1のタイル。
2t3b1.jpg

 それを仮分数にしてみます。
一のタイルを3つに分け、その3つ分、つまり全部は、3/3(3分の3)
 それが2つで6/3(3分の6)です。
3bunno7.jpg

 だから2 ⅓(2と3分の1)は、6/3と1/3で、7/3(3分の7)になります。
 目で見て、すっきり理解できますね。

 計算のやり方を忘れたら、ちょちょいとタイルを描いてタイルの数を数えればいいです。
 自分でタイルを描くことができるまで理解したらいいですね。

 逆も同じようにできます。説明は不要ですね。


分数のかけ算もタイルで
 分数のかけ算をタイルでやってみます。

 まずは、簡単に真分数×整数で、 2/5(5分の2)×3

 次のようになります。5分の1が6個で5分の6,帯分数になおすと1と5分の1,いいですね。
bunsukakezan1.jpg

 次は、真分数×真分数、⅖ (5分の2)×3/4
bunsukake2.jpg

全体(1)を5×4に分けてあるので、1つの長方形は1/20(20分の1)、それが2×3個の6個あるので、6/20 (20分の6)です。

 だから、分子同士、分母同士をかければいいのですね。

 帯分数×帯分数をしてみます。
 1・⅖×2・3/4(1と5分の2かける2と4分の3)
bunsukake3.jpg

 仮分数にすると、7/5×11/4 次のようになります。
bunsukake4.jpg

 1を横に5,たてに4に区切ってあるので、1つの長方形は20分の1
それが、7×11の77個あるので、77/20(20分の11)、3と17/20

 帯分数を仮分数にして分子同士、分母同士をかければいいことが分かりますね。







分数のわり算。わり算はわる計算ではなく、1あたりを求める計算
 わり算は、「わる計算」ということで、割ったり、分けたりするものというイメージがありますね。
 整数のわり算ではそれで理解して十分です。

 でも、分数や小数の場合には、それでは理解できません。

 わり算というのは、1あたり量(単位あたり量)を求めたり、いくつ分を求めるときに使う計算です。
 ここでは、1あたり量を求めることに限ることにします。

 ケーキ3個で300g。1個では何gか。 
 300÷3 で求めますね。わり算です。分けています。そして、1個の重さを求めているのです。

 ケーキ1/3個で100g。1個では何gか。
 上の場合と似ています。3個が1/3個になっているだけです。
 1個の重さを求めているという点でも同じです。

 だから100÷1/3 で求めるのです。

 1/3個で100gなら1個では300gというのは分かります。
 そして、式を書かせると
 100×3 と書く子が多いです。

 考え方として間違いではありません。
 でも、問題文の中の数を使うのであれば、
 式は、100÷1/3 になります。

(指摘を受けたので、文の一部を修正いたしました)

100w3b1.jpg

 そして、100÷1/3=100×3=300

 このようにひっくり返してかけるのです。

http://selfyoji.blog28.fc2.com/blog-entry-4774.html



分数のわり算では、なぜひっくり返してかけるのか
 ケーキ3個で300g。1個では何gかは、 300÷3 
 ケーキ1/3個で100g。1個では何gかは、100÷1/3 で求めるということを前の記事で書きました。

 この節では、ケーキ2/3個で200g。1個では何gかを考えてみます。

  式は200÷2/3 になりますね。

  これは、まず1/3個で何gかを求めます。
  2/3個で200gなので、半分にすればいいですね。

 つまり、1/2になります。

bunsuuwarizan5.jpg

 200×1/2 =100 

 100gが1/3個の重さです。

 1個の重さを求めるのですから、その3倍です。

 100×3=300
 1個の重さは300gになりました。

 式は200÷2/3
 まず200×1/2 をして ×3をしました。
 bunsuuwari6.jpg

 まとめると、200×1/2×3
 さらにまとめると、200×3/2 です。

 200÷2/3 =200×3/2 になりました。

 このようにして、分数のわり算は分子と分母をひっくり返してかけることになるのです。




負の数の導入
 中学に入ると、正の数と負の数について学びます。

 水道方式では、半抽象的なタイルでの説明の前に具体的な水の量での説明で始まります。
 その説明は特に独創的だという感じをぼくはもちませんでしたが、うまい説明だと感じました。わかりやすい。

 少し急ぎ足で説明します。

 水位が0のところを基準にして、それより水量が上だとプラス(正)、下だとマイナス(負)とします。

 1cm高ければ+1cm、低ければ-1cm。

 また上昇すれば プラス、下降すればマイナスです。

 2cm上昇し、さらに3cm上昇すれば、基準値より5cm高いところにくる。よって
 (+2)+(+3)=+5

 2cm上昇し、3cm下降すれば、基準値より1cm低いところにくる。よって

 (+2)+(-3)=-1

 2cm下降し、さらに3cm下降すれば、基準値より5cm低いところにくる。よって

 (-2)+(-3)=-5

 などです。

 具体的で、イメージがわくので理解しやすいですね。



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