FC2ブログ
セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

数学は暗記か?
 野口 悠紀雄著 超「超」整理法 を読みました。



 その中に次のような箇所がありました。


 大学教養課程の数学のクラスで聞いた「数学は暗記だ」というS助教授のー言が、数学に対する私の考えを根本から変えた。第1章の3で、このように述べた。その背景を説明しよう。

 高校生の時、私は「数学を理解しなければならない」、また「問題の解法は自分で考え出さなければならない」と、無駄な努力をしたと思う。「解き方を覚えて先に進んでよいのなら、もっと簡単なのに」と考えていた。

 しかし、教師は「理解してから進め」と言う。したがって、私は「理解しなければならない」という強迫観念に悩まされ、そうしない時には、罪悪感を持った。いまにして思えば、理解しないで進んでも問題はなかった。実際、先に進んでいれば、上から見渡せる。上から見れば、いろいろなことが簡単に理解できる。あるいは、理解すべきことと、しなくてもよいことの区別がつく(実際、厳密に言えば、公理系として決めていることは、もともと理解できるはずがないのである)。

 教師はまた、「人の真似をするのでなく、自分の頭で解き方を考え出せ」と言う。だから、私は、「教科書に書いてある解き方を見る前に自分で考えなければならない」という強迫概念に悩まされ、そうできない時には劣等感を覚えた。しかし、いま思えば、教科書の方法を覚えるだけで先に進んでもよかった。なぜなら、多数の問題の解き方を見てそのパタンを覚えてしまえば、たいていの問題はその応用として解くことができるからだ。それに、最初にその解法を考え出した人は、長い時間と試行錯誤の末に成功したのに違いない。そうした先人の労苦はありがたく利用すればよいのであり、同じ苦労をすべての生徒が繰返す必要はない。

 だから私は、いまでは「理解せよ」「自分で考え出せ」という注意は誤りだったと、自信を持って言える。それにもかかわらず、いまだにそうしたことを言って、数学嫌いの生徒を大量に生産している教師がいる。「分からなければ、あるいは自分で考え出せなければ、暗記してしまえばよい。気にせずに先に進もう。そうすれば、いずれ分かるだろう。また、解き方を覚えているだけでも、ほとんどの問題は解ける」と、なぜ言ってくれないのだろう。「理解せよ」「自分で考え出せ」と言い続ける教師に対して、私は、「あなたは本当に理解したのですか? 教科書を見ずに、本当に自分の頭だけで解き方を考え出したのですか?」と詰問したい気持ちだ。(p214~215)



 和田秀樹氏の本に「数学は暗記だ」というのがありました。だいぶ前に読みました。
 いま検索してみると,和田 秀樹 (著) 「難関大学も恐くない 受験は要領―たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ (PHP文庫) (文庫) 」というのもあります。

 二人とも,この「理解せよ」と「自分で考え出せ」が完全にリンクていて,ほぼ同意義に思っているように感じます。

 ぼくはそうは思いません。ぼくは,先人の考え出したことを「理解せよ」そして「暗記せよ」だと思っています。

 野口氏が書いてあるように,一つ一つの解法は先人が苦労し,長年かけて考え出したものです。凡人が短時間に考え出せるものではありません。だから,先人がどのようにして考えたのかを読んで,それを理解することが大切です。それを自分で考え出すように指導するのは間違いでしょう。ただ,先人がたどった考えをそれにそって自分もたどって理解するというのは大切なことです。

 そして,それを理解できたら,それを暗記します。理解してから暗記するというのはまた大事なことです。

 そして,次は類題を自分で解いてみるということがまた大切です。
 数学は暗記だ,ということが先走りすると,類題もせっせと暗記してしまうということになりかねません。その類題が自分で解けないときは,解答を見て,それを理解し,暗記するようにします。

 ぼくは,野口氏も和田氏も,まったく理解を無視し,数学は暗記だ,といっているのではないのではないか,と思います。彼らは頭のとてもいい人です。だから,授業の中で説明されたことはすぐに理解できるのでしょう。そして,その後は問題の解き方を暗記するということだと思います。自分が楽に理解していることは「あたりまえ」だと思って飛び越して主張してしまう。

 しかし,それが理解できない人をぼくは何人も指導してきました。

 だから,文章問題でたし算のものをかけ算で解こうとしたりします。そういうのは解法を覚えるより,たし算,かけ算の意味をきちんと理解させなければいけません。

 数学は暗記だ,ということで教育が行われると,

 三角形の面積は,底辺×高さ÷2だ,それをとにかく覚えなさい,ということになるでしょう。

 ぼくはそうではありません。ぼくは,なぜ,そのような式で面積を求めることができたのかの説明から入ります。そして,三角形の面積は,底辺×高さ÷2で求めることができることを理解した上で,その公式を覚えて,面積を求める問題に入っていきます。

 なお,それが理解できなければ,一応おいておいて,ただ暗記し,先に進むというのも必要なことです。野口氏も書いていますが,後で振り返ると楽に理解できるということもあります。
スポンサーサイト



Copyright © セルフ塾のブログ. all rights reserved.