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セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

セルバンテス,シェイクスピア,徳川家康

 城塞 (中巻) (新潮文庫)

 この本の中の次の部分もおもしろかったです。


 話は外れるが、この家康や淀殿の時代、スペインの作家セルバンテスは六十七歳でなお存命中であり、経済的には窮乏のなかにいたとはいえ、その作「ドン・キホーテ」の存在は、すでにスペインの読書人のあいだで十分に知られていた。かれは日本の慶長十年にその第一部を出版し、その後第二部にとりかかり、家康が、ちょうど日本の戦国の騎士たちの最後のトリデである大坂城を攻めつつあるこの時期、セルバンテスはスペインの騎士道讃美物語に対する痛烈なからかいを籠めたこの作品をほとんど脱稿しつつあった。翌元和元年夏ノ陣の年に、セルバンテスはこの第二部を出版するのである。日本の戦国の最後の騎士たちがほろんでゆく歴史的事実と、セルバンテスが最後の騎士としてドン・キホーテを創造してそのころまで盛行していた騎士道物語にトドメを刺した時期とが偶然以上の偶然さでー致している。世界史というものは、ーつ気流のなかでうごいているのかもしれない。

さらに話は変るが、セルバンテスは「ドン・キホーテ」という架空の物語を創ることによって、人間の性格の典型を世界に教えた。このおかげで後世のわれわれは人間の性格群を整理したり分類したりすることが至って便利になり、たとえば友人たちのあいだでの気軽な会話のなかで、
「あいつはつまりドン・キホーテだ」
というだけでその人物の全輪郭をひとことで相手にわからせる便利さを得た。この便利さは、シェイクスピアがハムレットというー典型を世に出してくれたおかげで後世のわれわれが大いにそれを享受していることと、同様である。

セルバンテスもシェイクスピアも徳川家康も同時代人であることで共通しており、さらに三人に共適していることは、死んだ年までおなじであることであった。この三人は、一六一六年日本の元和二年に死んだ。

さらにおそるべき共通点は、この三人は死んだ月までおなじであることだった。シェイクスピアとセルバンテスは月日もおなじ四月二十三日に死に、日本の徳川家康はそれより数日前、四月十七日に死んだ。

 ・・・・もっともこの縞の筆者は、以上のような偶然性を読者に知ってもらうために、こんな書き出しを書きはじめたのではない。


 ということで,以下司馬遼太郎氏が読者に知ってもらいたいことが続きます。それもおもしろいのですが,セルバンテスもシェイクスピアも徳川家康も同じ年に死んだという偶然性はおもしろいです。単純にびっくりしました。

 確か,マルクスがよく読んだということだったので,セルバンテスの「ドン・キホーテ」,そしてシェイクスピアを学生のころに読みました。
 ドンキホーテはかなり長いのです。いまアマゾンを見ると,岩波文庫で前編三冊,後編三冊。ぼくはたしか後編の途中で挫折しました。シェイクスピアも文庫でだいぶ読みました。戯曲なので読みにくく,特におもしろいとはおもわなかった。

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