「この1年間でずいぶん成長したね」とほめてるの聞いて、S龍君が少しすねて言いました。
一年間での成長
「僕のことはちっとも褒めてくれないね。」
それで僕は言いました。
「あなたは小学生のころからセルフ塾にいるから約分や通分は当たり前にできるんだよ。小学校のころから塾に来ていてよかったと思っているよ」と言いました。
彼もそれには納得したようです。
S龍君は小学2年生の時からセルフ塾にいます。
正直なところ理解力がいい方ではありませんでした。また学習する姿勢もできていませんでした。そのせいでいつもしかられていたように思います。
課題もなかなか進みません。
でもそのうちにだんだん学習することにも慣れてきました。学習する姿勢もよくなり、理解力もついてきました。
5年生のころからは毎日の課題を終えることができるようになりました。そして計算力もしっかりついてきました。もちろん約分や通分も上手にできます。
そのままの中学生になってもセルフ塾を続けてきたので、特に問題なく学習が進んできたのです。基礎力の落ちこぼしがありません。
だからN秀君やS平君のように、小学生で学ぶ約分や通分の復習などをする必要もありません。
当たり前のように学習が進んでいるので、この1年ですごく伸びたという感じはしないかもしれません。
でも小学生の復習をしない分、前に着実に進むことができるのです。
入塾当時の彼の姿を思い出すと、彼が中学になってから入塾していると、N秀君やS平君のように小学の復習からやらざるをえなかったと思います。
大げさにではなく、また彼をなぐさめるという意味ではなく、本当に彼は小学生の時から塾での学習を続けて来てよかったと思うのです。
そして、塾で印刷し、製本いたしました。
それを一冊\500で販売いたします。送料は無料です。B5版、101ページです。だいたい新書くらいの量です。
(その後、電子出版しました)
なお、セルフ塾の保護者の皆様には無料で配布をいたしたいと思います。ほしい方は、生徒を通して申し出てください。
塾での生徒たちを指導しての経験、そして自分なりに学んだ行動分析学などをもとにして、家庭における教育を書いてみました。
これまでブログでも取り上げてきたことをまとめただけとも言えます。
次に前書きと目次を乗せておきます。
(まえがき)
Aさんは,すばらしい保育者(保母さん)です。保育園では,いつもにこにこしていて,子どもたちに好かれています。さぞかし,家ではいいお母さんだろうな,と思っていたら,大間違い。子どもを怒ってばっかり。大きな声を出して今にも手を出しそうな雰囲気。
Bさんは,優秀な教師です。教え方も上手で生徒にも慕われています。家庭では子どものいい家庭教師だろうと思ったら,こちらも大変。「こんなことも分からないの」「さっき教えたばかりじゃない」とわめいています。子どもは大粒の涙を浮かべ「お母さんなんか,大嫌い」と言い返します。
子どもを扱うのが専門家である保育者や教師でさえ,親の立場になると,「最悪の親」,「最悪の教師」になります。「いわんや,ふつうの主婦をや」ですね。
もちろん,いい保育者,いい教師であって,またいいお母さん,いい家庭教師も少なくありません。ふつうの主婦で,いい家庭教師もいます。でも,お母さんは「最悪の教師」というのが多いですね。そして,そういう家庭はもう地獄のようです。
さて,この本は,そういう「最悪の教師」であるお母さん,お父さんのために書きました。
親というのは,親というそれだけの理由で,「最悪の教師」になる条件を備えているのです。ただし,この本に書かれていることを実践することができるのなら,その「最悪の教師」は,「最良の教師」に変身します。なぜかと言えば,親は「最良の教師」としての条件もまた備えているからです。
ぼくは,大学で心理学を学びました。その後,施設指導員,保育園経営を経て,いまは学習塾をやっています。学習塾はもう20数年になります。セルフラーニング(自己学習)の塾です。子どもたちの学習への意欲を引き出すことがぼくの大きな役目で,それを追求してきました。行動分析学(心理学の一種)を学び,それを子どもたちのやる気を引き出すために適応してきました。その経験をもとに,お母さん,お父さんが「最良の教師」になるためにどうすればいいかをまとめたのが,この本です。
難しいことを書くつもりはありません。できるだけ実践しやすいようにていねいに書きます。でも,もし「これは自分には無理だな」と思われるのでしたら,自分の子どもの教師になることはやめてください。安易な気持ちで子どもの勉強をみてあげようとしたら「最悪の教師」になり,子どもを勉強嫌いにしてしまうだけです。
この本で,多くの「最良の教師」が誕生することを願っています。
(もくじ)
第1章 親は最悪の教師なり
●親は「最悪の教師」の条件を備えている
●親は「最悪の教師」と知ったのは
第2章 「最悪の教師」を脱出するために
●親が変われば子は変わる
●傍目八目(おかめはちもく)
●それを言っちゃーおしめーよ集(禁句集)
●腹式呼吸
●自己評価
●初めて学ぶことはとても難しい
●親は火星人,子どもは金星人
●学習時間をルーティンにする
●一貫性
●チェイニング
第3章「良い教師になるために」
●ノルマ制
●約束は守る
●ノルマを減らし,やる気につなげる
●つまずいていても,先に進む
●「本物の学力」と「テスト用の学力」
●過去の自分と競争する
●成果主義 vs. 努力主義
●学力の閾値
●経過を評価する
●物でつること
●ほうびが知的好奇心を阻害する
●ほうびは後で与えるもの
●親のあこがれにあこがれる
第4章 より良い教師になるために(1)
●学び手は常に正しい
●「教える」と「教え込む」
●子どもの評価は教え手の評価
●子どもに愛が伝わっていますか
●ソクラテスの「産婆術」
●フェイド・アウト
●自らが無用の存在となる覚悟
●共感する
●「共感」と「同情」
●一方伝達と双方伝達
●セルフラーニングの勧め
●能動的学習と受動的学習
●自由な旅とセルフラーニング
●創造的な人は自分が創造的だと思っている
●「解ける」と思った人が「解ける」
●「トットちゃん、君は、本当は、いい子なんだよ」
●ギリシア神話「ピュグマリオーン」
●ピグマリオン効果
●自己評価の高い子に育てる
●親ばかの勧め
●教育における強制
●叱ることも大切
●叱り方のポイント
●湿けたポテトチップの法則
●秋葉原無差別殺傷事件と湿けたポテトチップ
●両立しない行動を強化する
●今日の五十より明日の百
第5章「より良い教師になるために(2)
●知識を得る方法を教えたら,一生学ぶことができる
●読書好きな子に育てる方法
●読み聞かせ
●読み聞かせと指で追う
●音読
●三色ボールペン読書
●親子読み
●セルフ塾での読書指導
●星新一著「ボッコちゃん」・・・行間を読む
●星新一の本おもしろいよ。お母さんも読んでごらん
●何を読むか
●塾での読書リスト
●母と読書の思い出
●1科目選ぶなら,算数,数学
●漢字の練習
●漢字検定
●過去問題
●小学国語の教材「国語だいすき」
●中学国語の教材
●その他の科目の教材
第6章 最良の教師になるために(1)
●英語ができないのは,感謝すべき
●英会話ごっこは,発展性がない
●英文法の学習が日本人の英語の学び方に合っている
●「できる」より「分かる」
●数学は暗記か
●理解していないと覚えきれない
●分かればできるか
●ブラックボックスと遊び
●分からなくても「できる」で先に
●水道方式
第7章 最良の教師になるために(2)
●早期教育
●セミリンガル
●旅
●歴史小説
●ラジオ講座を利用する
●英語の歌で英語学習
●まんが
●テレビ
●コンピュータゲーム
●多重債務も教える
●トモエ学園の授業
●十年後から戻ってきたんですよ
(あとがき・・・親は「最良の教師」になる条件も備えている)