まずは池上彰の著「学び続ける力」
少し長いですが、引用します。
私の父親は口数が少なくて、ふだん子どもとおしゃべりすることもあまりありませんでしたが、あるとき「この本を読んだらどうだ?」と言って私に買ってくれた本がありました。当時岩波少年文庫から出ていた、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)でした。
中学生のコペル君というあだ名の男の子が主人公です。中学生といっても、この本が書かれたのは第二次世界大戦前の1937年で、コペル君は、旧制中学の2年生、15歳です。
コペル君は、学校である時、友達がいじめられているのを目撃します。なんとかしなきゃいけないと思いながら。「やめろよ」と言うことが出来ず、見過ごすことになってしまいます。そのことから、彼は、心に傷を抱きます。いじめを止めることができなかったといって、自分を責めます。
小学生だった私は、このコペル君の本を読んで、誰かがいじめられている時に自分はいじめを止めることができるのだろうか、勇気ってなんだろうかということを、自分なりに悩んだり考えたりしました。その時の気持ちは、今でもよく覚えています。
いじめは今に始まったことではありません。この本が書かれた時代にも、この問題はあったのです。当時も、いじめを止めることができなくて悩んでいる子どもたちがいました。吉野源三郎は、今から75年も前に、今と同じようなことを描いていたのです。
子どもの頃から、たとえばこのコペル君の本を読んで、そのようなことを考えていく、そして、親や教師も子どもたちに本を通してそういうことを考えてもらう、想像力を持ってもらう。そういうことも本なら可能なのです。
もう一冊は斎藤美奈子著「それってどうなの主義」
そこには次のようにあります。
天動説と地動説は科学ではなく文化なのだ。多くの人が共通認識としてきたのが文化だとすれば、文部省は「科学離れ」ではなく「文化破壊」に手を貸したのである。
文化的な失策には文化的な処方箋を。とりあえず私がすすめるのは吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)である。5年生のときこの本を読んだ私は、地動説と経済の仕組みと友情の大切さを学んだ。中学2年生の主人公のあだ名はコペル君。コペルニクスのコペルである。
ぼくは30代のはじめに、 この本に出会いました。
保育園を始めたころです。その時に読んだのですが、僕に大きな影響を与えたと思っています。
池上彰さんも斎藤美奈子さんも小学生のときに、この本を読んだのですね。小学生には、難しい本だと思います。2人とも小学生のころから違っていたんだ。
それを中学生か高校生の頃に読んだら、生き方が変わってくるのではないでしょうか。もちろん大学生でも、そして社会人になった人にとっても遅くはありません。とてもいい本です。
読解力があるのなら、お二人のように小学生でもいいのでしょうね。