ダニエル ゴールマン (著)「EQ―こころの知能指数」(講談社)にある,マシュマロ・テストを紹介します。
マシュマロ実験
でも書きましたが,原典からちゃんと引用しようと思ってここに長々とやりました。
昨日書いた,「きょうの50より,明日の100」に通じるものです。
この「マシュマロ・テスト」を読めば,いかにがまんすることが大切かが分かってくれるでしょう。子育てにおいて,もっとも大切なことの一つです。
(マシュマロ・テスト)
あなたが四歳の子供だとする。あなたに向かって、実験者が次のように言う。
「ちょっとお使いに行ってくるからね。おじさんが戻ってくるまで待っててくれたら、ごほうびにこのマシュマロをふたつあげる。でも、それまで待てなかったら、ここにあるマシュマロひとつだけだよ。そのかわり、今すぐ食べてもいいけどね」。
(中略)
この研究は、一九六〇年代にスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが大学構内にある付属幼稚園で始めたもので、研究対象となったのはおもに大学の教職員や院生らの子供たちだ。研究では、四歳の子供たちが高校を卒業するまでを追跡調査した。
四歳児のうち、何人かは実験者が戻ってくるまでの気の遠くなるような十五分ないし二十分間をがまんして待つことができた。持っているあいだ、子供たちはマシュマロを見なくてすむように両手で目を覆ったり、腕組みをした上に顔を伏せたり、自分を相手におしゃべりしたり、歌をうたったり、手あそびや足あそびをしたりして、内なる欲望とたたかった。なかには、眠ってしまおうとする子もいた。そうして最後までがんばりぬいた子供たちは、ごほうびにマシュマロを二個もらった。
おなじ四歳児でも、より衝動的な子供たちは目の前のー個のマシュマロに手をのばした。しかもほとんどの場合、実験者が「お使いに行く」ために部屋を出た直後に。
このときの衝動への対処法が予言したことは、それから十数年後、園児たちが青年になった時点で実施された追跡調査で明らかになった。即座にマシュマロに手をのばしたグループと実験者が戻るまでがまんできたグループのあいだには、情緒や社会性において劇的な差が生じていた。四歳のときに誘惑に耐えることのできた子は、青年となった時点でより高い社会性を身に付けていた。対人能力にすぐれ、きちんと自己主張ができ、人生の難局に適切に対処できる力がついていた。少々のストレスで破綻したり行き詰まったり後退したりせず、プレッシャーにさらされても狼狽したり混乱したりすることが少ない。困難な課題にもすすんで立ち向かい、難しそうだからといって投げ出したりしない。自分に自信を持ち、信頼に足る誠実さを持ち合わせている。いろいろなプロジェクトに率先して参加する。そしてマシュマロ・テストから十年以上経過した時点でも、目標を達成するために欲求の充足を先へ延ばすことができた。
しかし、マシュマロにすぐ手をのばした三分の一くらいの子供たちにはこのような長所がそれほど認められず、反対に心理的に問題の多い姿が浮かびあがってきた。青年期を迎えた彼らは対人関係を避けようとする姿勢が目立ち、強情な半面優柔不断で、小さな挫折にも心の動揺を見せる。自分自身のことを「だめ」な人間、あるいは無価値な人間と考える傾向がある。ストレスを受けると動けなくなったり後退しやすい。疑い深く、自分が「恵まれていない」ことを恨み、嫉妬心を抱きやすい。感情の起伏が激しくいらだつと過激に反応しやすいので、言い合いやけんかになりやすい。そして、七年あまりの歳月を経てもやはり彼らは欲求の充足を先へ延ばすことができなかった。
(中略)
さらに驚くべきことに、高校を卒業する時点でマシュマロ・テストの子供たちをふたたび評価してみたところ、四歳のときに忍耐づよく待つことのできた子供は、そうでない子供と比較して、学業の面でもはるかに優秀なことがわかった。(p131~p134)
- 関連記事
-
- 保育園児はストレスに強い (2009/07/08)
- 「疑わしくは,罰せず」のジレンマ (2009/06/05)
- マシュマロ・テスト(EQ―こころの知能指数) (2009/06/02)
- 旅と子育て (2009/05/30)
- 母と読書の思い出 (2009/05/29)

コメント、ありがとうございます。
自分のお子さんに実験してみるのは、本当にドキドキものだと思います。想像しただけで、緊張します。
乗り切ることができたとのこと、よかったですね。がまんするために、子どもなりに工夫するというのは、興味深いものです。

わが子を試すという行為に、緊張しました・・・
結果は、我慢できました。
大好きなゼリーを、セロテープで張り合わせたカップに隠し、乗り切ったようです。
普段は、あまり見せない我慢する姿勢に感動しました。
みなさんもやってみてはいかが?

コメント、ありがとうございます。
自分のお子さんに実験するのは、おもしろいですね。できれば、結果を教えて欲しいです。
テレビで似たようなのをしていましたが、マシュマロではなく、シュークリームを使っていました。最近の子どもにとっては、マシュマロは人気がないのでしょうか。

要するに
目標の設定(帰ってくるまで待てばマシュマロは二つもらえる
↓
目標へむけて実行(気をそらしたりして我慢する
↓
目標達成(ご褒美に二つもらえた
ですよね。子供が4人いるのでやってみたいなと思います。
うちの子は食べてしまいそうな気もします・・(笑
マシュマロは小さな目標だけれど、
ひいてはお年玉を計画的に使ったり、夏休みの宿題を予定をたててすすませたりといった力にもなっていきそうですね。

TB*URL |