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セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

 鏡の国の創泰くん

 ちょっとした物語を作りました。

 中学3年生の創泰(そうたい)くんは、やっと起き出して洗面所に向かいます。昨夜遅くまで「相対性理論」の本を読んでいたのです。難しくてよく意味が理解できません。

 顔を洗ってふと鏡を見ると、自分の顔ではなく、窓の外を見ているように別の風景が目に入りました。

 野球をしているようです。創泰くんと同じ年頃の子です。中学の野球部でしょうか。しかし、少し変です。動作が緩慢です。テレビのスローモーションを見ているような感じです。
 ピッチャーがボールを投げました。スローモーションで投げるので、ボールもスローです。創泰くんには、ボールの縫い目もしっかり見ることができました。創泰くんも野球は大好きです。自分でもやります。ただ、それほどうまくはありません。

 「こんなスローボールなら、ぼくでもホームランを打つことができるよ」
 創泰くんはそう思いました。

 別のところに目を向けると、陸上競技の練習をしています。100mの競走で、タイムを計っているようです。陸上部の生徒でしょう。それらしい格好をしています。
 ピストルの合図でスタートを切りました。とてもすばらしいフォームです。でも、こちらもスローモーション。ゆっくりゆっくり走っています。
 創泰くんは思いました。「これならぼくの方が速いな」
 走るのも苦手な創泰くんですが、そう思いました。

 ゴールを駆け抜けました。
 「11秒5だ!。すごい。これなら大会で優勝できるぞ」とストップウォッチでタイムを測定している子が興奮しながら大きな声で叫んでいます。

 「あんなにゆっくり走って11秒5だって。おかしいんじゃないか。それならぼくはオリンピックにだって出られるぞ」創泰くんはそう思いました。

 遠くの方に時計が見えました。どこかの塔の時計です。じっと見ているとアップで見えるようになり、はっきりしました。秒針もついています。それを見ると秒針もスローモーションなのです。ゆっくりゆっくり動いています。

 「なんだ。ここは時計もスローモーションなんだ。これではかったらあんなにゆっくり走っても11秒5という記録が出てもおかしくないよ。時計をゆっくりするなんてインチキじゃないか」
 「この世界ならぼくはスーパーヒーローだろうな。プロ野球の選手にもなれるし、オリンピックの選手にもなれるぞ」

 そう思いながら創泰くんは、鏡に手をふれました。すると、その手がみるみる鏡の中に吸い込まれていきます。あれあれと思っているうちに、創泰くんはその鏡の世界に入り込んでいたのです。

 「よし、ぼくはこの世界でスーパーヒーローになるぞ」

 野球をしているところに駆けて行きました。そして、野球をしている少年たちに声をかけました。
 「ぼくも仲間に入れてくれよ」
 少年たちは快く受け入れてくれました。

 さっそく創泰くんのバッターからです。
「よし、ホームランをかっ飛ばしてやるぞ!」
 創泰くんは、バットを力強く振り回しながら心で叫びました。
「みんなびっくりするだろうな」
 創泰くんはバッターボックスにたちました。ピッチャーがふりかぶります。でもスローモーションではないのです。きびきびした動作です。そしてボールがやってきました。
 創泰くんはびっくりしました。スローボールがやってくると思ったら、すごいスピードボールがやってきたのです。バットを振ることもできずに呆然としてボールを見送りました。
 2球目。やはりスピードボールです。バットを振ったのですが、かすりもしません。そして、結局は三振です。

 次に陸上競技をしている少年のところに来ました。
「ぼくもいっしょに走らせてくれ」創泰くんは頼みました。野球でショックを受けているのですが、走るのはどうにかなるかもしれないとまだ少しは希望をもっています。しかし、野球を始める前の自信満々はありません。走るのももしかしたら速いのかも、と半信半疑。

 いっしょに走り出しました。少年はすごいスピードで走っていきます。創泰くんはその背中がどんどん小さくなるのを感じながら追いかけています。スーパーヒーローどころではありません。大きく差をつけられてゴール。

 見上げると時計が見えました。いま見る時計はいつものような速さで進んでいます。スローモーションではないのです。

 スーパーヒーローになるという創泰くんの夢は完全に消えました。

 振り向くと、鏡があります。のぞいてみました。お母さんが見えます。

「創泰くんはどこにいったのかね?洗面をしていると思っていたのだけれど」創泰くんをさがしているようです。

 そのお母さんを見て創泰くんはびっくりしました。その動作がスローモーションなのです。鏡の国から見ると、自分のいた世界の方がスローモーションになっているのです。

 創泰くんは、鏡に手を伸ばしました。


 

 特殊相対性理論の世界を物語りふうにしてみました。

 静止している人から見ると、光速に近い速度で動いているロケットの中の時間は遅くなります。そして、その中にいる人の動作もそれに合わせてスローモーションになるのだそうです。だから、そこにすんでいる人にとっては時計が遅れているとは感じないのです。
 逆に光速に近い速度で動いているロケットにいる人が静止している人を見るとそこでも逆に時計が遅れてスローモーションの世界なのです。ロケットに乗っている人にとっては、静止している世界の方が逆向きに光速で動いているからです。

 なお、一般相対性理論ではまたちがったようになります。特殊相対性理論では時計の遅れはお互い様ですが、一般相対性理論の世界では加速度運動をしている人の時計だけが遅れるのだそうです。  
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