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セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

芥川龍之介著「藪の中」のあらすじ

 芥川龍之介著「藪の中」のあらすじです。

 青空文庫からコピーし,すじが分かる範囲で短くしてました。
 ぼくは中学生か高校生のときにそれを読みました。おもしろかったです。すごいなあと思いました。まだ読んでいない方は,ぜひ読んでみてください。ぼくのあらすじだけで終わるのはもったいないですよ。
 
 なぜ,あらすじを書いたかは次の記事に書きます。





     検非違使《けびいし》に問われたる木樵《きこ》りの物語
 わたしは今朝《けさ》いつもの通り、裏山の杉を伐《き》りに参りました。すると山陰《やまかげ》の藪《やぶ》の中に、あの死骸があったのでございます。


     検非違使に問われたる旅法師《たびほうし》の物語
 あの死骸の男には、確かに昨日《きのう》遇《あ》って居ります。昨日の、――さあ、午頃《ひるごろ》でございましょう。あの男は馬に乗った女と一しょに、関山の方へ歩いて参りました。


     検非違使に問われたる放免《ほうめん》の物語
 わたしが搦《から》め取った男でございますか? これは確かに多襄丸《たじょうまる》と云う、名高い盗人《ぬすびと》でございます。人殺しを働いたのは、この多襄丸に違いございません。


     検非違使に問われたる媼《おうな》の物語
 はい、あの死骸は手前の娘が、片附《かたづ》いた男でございます。名は金沢《かなざわ》の武弘、年は二十六歳でございました。娘の名は真砂《まさご》、年は十九歳でございます。
 武弘は昨日《きのう》娘と一しょに、若狭へ立ったのでございますが、こんな事になりますとは、何と云う因果でございましょう。

       ×          ×          ×

     多襄丸《たじょうまる》の白状
 あの男を殺したのはわたしです。しかし女は殺しはしません。

 わたしは昨日《きのう》の午《ひる》少し過ぎ、あの夫婦に出会いました。その時風の吹いた拍子《ひょうし》に、牟子《むし》の垂絹《たれぎぬ》が上ったものですから、ちらりと女の顔が見えたのです。わたしはその咄嗟《とっさ》の間《あいだ》に、たとい男は殺しても、女は奪おうと決心しました。

 その内に竹が疎《まば》らになると、何本も杉が並んでいる、――わたしはそこへ来るが早いか、いきなり相手を組み伏せました。たちまち一本の杉の根がたへ、括《くく》りつけられてしまいました。わたしはとうとう思い通り、男の命は取らずとも、女を手に入れる事は出来たのです。

 泣き伏した女を後《あと》に、藪の外へ逃げようとすると、女は突然わたしの腕へ、気違いのように縋《すが》りつきました。しかも切れ切れに叫ぶのを聞けば、あなたが死ぬか夫が死ぬか、どちらか一人死んでくれ、二人の男に恥《はじ》を見せるのは、死ぬよりもつらいと云うのです。わたしは男の縄を解いた上、太刀打ちをしろと云いました。わたしの太刀は二十三|合目《ごうめ》に、相手の胸を貫きました。すると、――どうです、あの女はどこにもいないではありませんか?


     清水寺に来れる女の懺悔《ざんげ》
 ――その紺《こん》の水干《すいかん》を着た男は、わたしを手ごめにしてしまうと、縛られた夫を眺めながら、嘲《あざけ》るように笑いました。わたしは夫の眼の中に、何とも云いようのない輝きが、宿っているのを覚《さと》りました。そこに閃《ひらめ》いていたのは、怒りでもなければ悲しみでもない、――ただわたしを蔑《さげす》んだ、冷たい光だったではありませんか? 

 その内にやっと気がついて見ると、あの紺《こん》の水干《すいかん》の男は、もうどこかへ行っていました。わたしはよろよろ立ち上りながら、夫の側へ近寄りました。
「あなた。もうこうなった上は、あなたと御一しょには居られません。わたしは一思いに死ぬ覚悟です。しかし、――しかしあなたもお死になすって下さい。あなたはわたしの恥《はじ》を御覧になりました。わたしはこのままあなた一人、お残し申す訳には参りません。」

 夫はわたしを蔑んだまま、「殺せ。」と一言《ひとこと》云ったのです。わたしはほとんど、夢うつつの内に、夫の縹《はなだ》の水干の胸へ、ずぶりと小刀《さすが》を刺し通しました。。とにかくわたしはどうしても、死に切る力がなかったのです。


     巫女《みこ》の口を借りたる死霊の物語
 ――盗人《ぬすびと》は妻を手ごめにすると、そこへ腰を下したまま、いろいろ妻を慰め出した。おれは勿論口は利《き》けない。が、おれはその間《あいだ》に、何度も妻へ目くばせをした。この男の云う事を真《ま》に受けるな、何を云っても嘘と思え、――おれはそんな意味を伝えたいと思った。が、盗人はそれからそれへと、巧妙に話を進めている。盗人にこう云われると、妻はうっとりと顔を擡《もた》げた。おれはまだあの時ほど、美しい妻を見た事がない。妻は確かにこう云った、――「ではどこへでもつれて行って下さい。」

 妻は夢のように、盗人に手をとられながら、藪の外へ行こうとすると、たちまち顔色《がんしよく》を失ったなり、杉の根のおれを指さした。「あの人を殺して下さい。わたしはあの人が生きていては、あなたと一しょにはいられません。」――妻は気が狂ったように、何度もこう叫び立てた。盗人はじっと妻を見たまま、殺すとも殺さぬとも返事をしない。妻はおれがためらう内に、何か一声《ひとこえ》叫ぶが早いか、たちまち藪の奥へ走り出した。盗人は妻が逃げ去った後《のち》、太刀《たち》や弓矢を取り上げると、一箇所だけおれの縄《なわ》を切った。

 おれの前には妻が落した、小刀《さすが》が一つ光っている。おれはそれを手にとると、一突きにおれの胸へ刺《さ》した。

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素晴らしいブログを読ませていただきありがとうございます。
これからも更新頑張ってください。
いつどこであい | URL | 2010/01/13/Wed 16:15[EDIT]
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