今、清水義範著のパスティーシュトと100「猿蟹合戦とは何か」を読んでいます。
清水義範は大好きでよく読みます。しかし彼の本はある意味とてもむずかしいです。なぜ難しいか。知識がないと分からない、面白さがわからない話が結構あるのです。
前に星新一著のショートショートの中の「最後の地球人」を紹介しました。旧約聖書の創世記の逆回しversionです。だからこのショートショートは、旧約聖書の創世記がわからないと面白くない本です。このように、ある知識がないと面白さが理解できない小説が結構あります。
星新一著「最後の地球人」
http://selfyoji.blog28.fc2.com/blog-entry-1434.html
声帯模写というのがありますね。俳優や歌手の声をまねるものです。
コロッケさんが美川憲一や五木ひろしの物まねをよくします。コロッケさんの表情はとても面白く、それを見ただけでも面白いことは面白いです。しかし、美川憲一や五木ひろしの歌い方を知らなければその面白さは半減します。美川憲一や五木ひろしの歌い方を思い出しながらコロッケさんの歌い方を見ていると、とてもおもしろいものです。
清水義範のパスティーシュというのはそういうものです。パスティーシュというのは文体模倣のこと。ある作家の文体をまねるというものです。
この「猿蟹合戦とは何か」の最初に収められているは「猿蟹の賦」というものです。これは、司馬遼太郎の文体でおとぎ話のサルカニ合戦を書いたものです。司馬遼太郎とはどういう文を書くのか知らなくても、何とか面白くはあります。しかし司馬遼太郎という人の書くものを知っていると面白さはまた格別です。僕は、司馬遼太郎も大好きでこれまでいくつも本を読んできました。だから何となくではありますが、司馬遼太郎の文体とはどういうものかを知っています。それで、この「猿蟹の賦」をとても楽しく読むことができました。
司馬遼太郎が「サルカニ合戦」を書くはずがないので、そういう意味でもおもしろいです。
2番目に収められている「サルカニ合戦とは何か」は、丸谷才一氏の文体模倣です。僕は丸谷才一氏をほとんど知りません。一冊は読んだかもしれませんが、よく覚えていません。だからこの「サルカニ合戦とは何か」を読んでも面白さは半減です。丸谷才一氏と、彼はこういう文を書くのかと思いながら読みました。
3番目の「21の異なるバージョンによる前文」は日本国憲法の前文をいろんな語り口でえがいたものです。
大江健三郎氏、谷崎潤一郎氏、江戸川乱歩氏などは、彼らの文体を知らないと少し面白くないです。しかし、長嶋茂雄の語り口、名古屋弁、落語、パソコンの取扱い説明書、などの語りぐちによる文はほとんど知識がなくても面白いものでした。
4番目に収められている猿取佐助(サルトルサスケ)は、立川文庫の講談調の文章で、ジャン・ポール・サルトルの評伝を書いたものです。これは立川文庫というのがどういうものかしらなくても、これを見ただけで立川文庫とはこういうものなのかというのがわかります。しかし、サルトルのことを知らなければこの文章はとても難しいと思います。僕は、大学時代にサルトルのことを少しはかじったので何とかついていくことができました。
次の小説は、「パウダースノウ」。これは、オールコットの「若草物語」を谷崎潤一郎の「細雪」の文体で書いているそうです。僕は、「若草物語」も「細雪」も読んだことがありません。そういう意味で面白さは半減しますが谷崎潤一郎の文というのはこういうものかと思いながら読むと、また面白いものでした。清水義範氏の「自著解説」が巻末にあるので、それを読みながら、本文を読んでいます。そこに
「谷崎のあのうんざりするほど長い、なのに意味は曇りなくわかる鵺(ぬえ)のような文章」とあります。本文を読みながら、ここがそうだなと思いながら読みました。
今この文庫本の 2/5を読んだところです。
本当に力のある人なら、「自著解説」を読む前に、それぞれの小説を読んで、「ああ、これは誰のまねをしているな」ということが見抜くことができれば、とてもおもしろいだろうと思います。ぼくには、とてもとてもです。
でも、こんなに文体をまねることのできる清水義範ってすごいなあと思います。
清水義範は大好きでよく読みます。しかし彼の本はある意味とてもむずかしいです。なぜ難しいか。知識がないと分からない、面白さがわからない話が結構あるのです。
前に星新一著のショートショートの中の「最後の地球人」を紹介しました。旧約聖書の創世記の逆回しversionです。だからこのショートショートは、旧約聖書の創世記がわからないと面白くない本です。このように、ある知識がないと面白さが理解できない小説が結構あります。
星新一著「最後の地球人」
http://selfyoji.blog28.fc2.com/blog-entry-1434.html
声帯模写というのがありますね。俳優や歌手の声をまねるものです。
コロッケさんが美川憲一や五木ひろしの物まねをよくします。コロッケさんの表情はとても面白く、それを見ただけでも面白いことは面白いです。しかし、美川憲一や五木ひろしの歌い方を知らなければその面白さは半減します。美川憲一や五木ひろしの歌い方を思い出しながらコロッケさんの歌い方を見ていると、とてもおもしろいものです。
清水義範のパスティーシュというのはそういうものです。パスティーシュというのは文体模倣のこと。ある作家の文体をまねるというものです。
この「猿蟹合戦とは何か」の最初に収められているは「猿蟹の賦」というものです。これは、司馬遼太郎の文体でおとぎ話のサルカニ合戦を書いたものです。司馬遼太郎とはどういう文を書くのか知らなくても、何とか面白くはあります。しかし司馬遼太郎という人の書くものを知っていると面白さはまた格別です。僕は、司馬遼太郎も大好きでこれまでいくつも本を読んできました。だから何となくではありますが、司馬遼太郎の文体とはどういうものかを知っています。それで、この「猿蟹の賦」をとても楽しく読むことができました。
司馬遼太郎が「サルカニ合戦」を書くはずがないので、そういう意味でもおもしろいです。
2番目に収められている「サルカニ合戦とは何か」は、丸谷才一氏の文体模倣です。僕は丸谷才一氏をほとんど知りません。一冊は読んだかもしれませんが、よく覚えていません。だからこの「サルカニ合戦とは何か」を読んでも面白さは半減です。丸谷才一氏と、彼はこういう文を書くのかと思いながら読みました。
3番目の「21の異なるバージョンによる前文」は日本国憲法の前文をいろんな語り口でえがいたものです。
大江健三郎氏、谷崎潤一郎氏、江戸川乱歩氏などは、彼らの文体を知らないと少し面白くないです。しかし、長嶋茂雄の語り口、名古屋弁、落語、パソコンの取扱い説明書、などの語りぐちによる文はほとんど知識がなくても面白いものでした。
4番目に収められている猿取佐助(サルトルサスケ)は、立川文庫の講談調の文章で、ジャン・ポール・サルトルの評伝を書いたものです。これは立川文庫というのがどういうものかしらなくても、これを見ただけで立川文庫とはこういうものなのかというのがわかります。しかし、サルトルのことを知らなければこの文章はとても難しいと思います。僕は、大学時代にサルトルのことを少しはかじったので何とかついていくことができました。
次の小説は、「パウダースノウ」。これは、オールコットの「若草物語」を谷崎潤一郎の「細雪」の文体で書いているそうです。僕は、「若草物語」も「細雪」も読んだことがありません。そういう意味で面白さは半減しますが谷崎潤一郎の文というのはこういうものかと思いながら読むと、また面白いものでした。清水義範氏の「自著解説」が巻末にあるので、それを読みながら、本文を読んでいます。そこに
「谷崎のあのうんざりするほど長い、なのに意味は曇りなくわかる鵺(ぬえ)のような文章」とあります。本文を読みながら、ここがそうだなと思いながら読みました。
今この文庫本の 2/5を読んだところです。
本当に力のある人なら、「自著解説」を読む前に、それぞれの小説を読んで、「ああ、これは誰のまねをしているな」ということが見抜くことができれば、とてもおもしろいだろうと思います。ぼくには、とてもとてもです。
でも、こんなに文体をまねることのできる清水義範ってすごいなあと思います。
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