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塾長先生の「相対性理論」わかる授業の「まえがき(2)」
 これまでの相対性理論の入門書がなぜ分かりにくいか,そしてわかりやすくするにはどうすればいいのかを説明します。

 1,まず,文字式です。
 式は悪くありません。入門書の多くが,「式を使わない」ということを謳い文句にしています。しかし,本当に分かるには,式が必要です。式を見ながら理解が進むのです。言葉だけの理解は,表面的な理解にとどまります。
 ただ,文字式だけで進む本はとても分かりにくいです。

 例えば,高校入試の問題に

「1個a円のりんごをb個買い,1000円払いました。おつりはいくらですか」
 というような問題があります。解けない生徒が,少なくありません。

 それをちょっと変えて
「1個50円のりんごを7個買い,1000円払いました。おつりはいくらですか」にします。
 これはほとんど100%の生徒が解けます。

 ぼくは,文字を数字に替えて,式を書かせ,それを文字にもどすという方法で先の入試問題を解かせます。

 これまでの相対性理論入門の本では,文字式だけでどんどん進みます。これを,最初は具体的な数字で計算し,納得させ,それから文字式で一般化するということを行えば,相対性理論はとても分かりやすくなると思っています。

 2,次は,数字が大きいと理解しにくいということです。

 先ほどの問題を
「1台850万円の車を250台買い,100億円払いました。おつりはいくらですか」
 として解かせるとします。文字式よりはいいでしょうが,りんごの場合よりも考えにくくなります。数字が大きくなるとイメージしにくくなるのです。計算が難しいというだけではありません。式を立てること自体が難しいのです。

 相対性理論は,光の秒速が30万kmの世界です。とても大きな数字が出てきます。そのままではとても理解しにくいです。イメージがしにくいのです。

 でも,いい先例があります。「トムキンスの世界」です。

 不思議の国のトムキンス (Mr. Tompkins in Wonderland) は1940年にケンブリッジ大学出版局から出版された科学空想物語で、著者ジョージ・ガモフは原子核のアルファ崩壊理論やビッグバン宇宙論で知られた世界的な物理学者です。そしてこれは、主人公トムキンスが夢の中で相対性理論や量子力学の効果が日常的に容易に観察出来る不思議な世界に入り込んで色々と思いがけない出来事を体験する、というかたちでこれら非日常的な物理の世界を解き明かす楽しい本です。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 ぼくはこれを徹底して利用しました。

 実際の光速は真空中では、毎秒299792458メートルです。1秒間に約30万km進むのですね。1秒間に地球を7回半回る速さだそうです。けたが大きすぎてイメージがわきません。

 「トムキンスの世界」では,光の速さが秒速30mになったとするのです。1000万分の1です。オリンピッククラスの100mの選手は,100mを10秒ほどで走るので,秒速10mです。

 秒速30mを時速に直してみます。30m×3600秒=108000m/時=108km/時です。高速道路を走っている車です。
 {1時間=60分,1分=60秒なので,1時間=3600秒(60×60)ですね}

 光の速さが車並みだとして考えてみると,分かりやすくなります。

 3,文字式より,言葉の方が分かりやすいということです。

 底辺をa,高さをhとすると,三角形の面積Sは次のようになる
 S=ah/2
 そう言われても,中学生は「????」という感じなのです。
 三角形の面積=底辺×高さ÷2
  は,よく分かります。

 相対性理論入門書のいくつかは,このような言葉による式を用いていますが,徹底していません。ぼくは,この本でそれを徹底しました。ただし,計算過程も言葉ですると煩雑でかえって分かりにくくなるので,文字でやりますが,結論は言葉による式にします。それだけで,意味が分かりやすくなるはずです。

 4,たとえ話は,理解を助けます。

 相対性理論においても「ウラシマ効果」というのが知られています。

 光速に近い宇宙船で宇宙を駆けめぐり、何年か後、出発地点に戻ってきたような場合、出発地点にいた人は年を取り、宇宙船にいた人は年を取らないという現象が生じ、宇宙船は未来への一方通行のタイムマシンの役目を果たす事になります。

 この状態が、日本のお伽噺である『浦島太郎』において、主人公の浦島太郎が竜宮城に行って過ごした数日間に、地上では何百年という時間が過ぎていたという話にそっくりであるため、ウラシマ効果と呼ばれています(SF同人誌「宇宙塵」主宰者の柴野拓美が命名者と言われています)。(Feペディア)

 「浦島太郎」のようなみんなが知っていることにたとえると,難しいことも分かりやすくなります。
 それで,ぼくは,子泣き爺現象,望遠鏡現象,竜宮城現象,藪の中現象などを考え出しました。うまく理解してもらえると思います。

 5,図を多用する

 図は,理解を助けます。これは多くの相対性理論入門書で行われています。それを参考にしながら,ぼくもたくさんの図で説明していきます。図も具体的な数字を用いているのでわかりやすくなっています。

 6,繰り返す部分を,ちゃんと掲載する

 相対性理論の本を書く人は,頭のいい人なのでしょうね。前に出てきた式や説明は,省いてしまうことが少なくありません。「これは前に説明しただろう」という感じです。

 ぼくらは,一度で理解し,覚えるほど頭はよくありません。前に出てきたことでも,必要なときには書き出していきます。

 読者を甘やかすな,という声も聞こえてきそうです。しかし,やはり相対性理論は難しいです。甘やかしても,それでも理解は難しいのです。読者に代わってぼくにできることはやっていきたいと思います。

 できるだけ,理解しやすいように書いていきます。しかし,それでも相対性理論は難しいです。

 これまで出版されている相対性理論入門には,「やさしい」ことをキャッチフレーズにした題が少なくありません。でも,やはり難しいのです。小説を読むような感じでは十分に理解できません。しかし,じっくりじっくり読んでもらえば,必ず理解してもらえると思います。

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