There is ~. というのは、なぜあんなに変な形をしているのだろうと、疑問が沸きました。
それで、ヴィスタ英和辞典を調べてみました。こんな説明がけっこうのっているのです。
編者の岩林俊輔さんが、「なぜ」にこだわる人のようです。
さて、there をひくと載っていました。それをコピー貼り付けします。
① のThere is a doll on the shelf.という文は,もともとは,次のような文でした.
③ On the shelf is a dol1.
つまり「そのたなの上にある(on the shelf)のは何でしょう,説明しますよ(is),人形なんです(a doll)」ということです.is は「ある」ではなくて,「〇n the shelfについて説明を始めますよ」という「合図」です.
③のような言い方をする理由は,英語の文では,おたがいに話をしている人同士がすでに知っていることがらは文の初めのほうで言い,聞き手(「読み手」の場合ももちろんあります)が初めて知らされることがらは文の最後に言うというルールがあるからです.
③についていえば.on the shelfのshelfにはtheがついているくらいですから,「そのたな」というのはすでに話題になっていて,聞き手にとっては新しいことがらではありません.
これに対して,a dollは聞き手が初めて聞くことがらなのです.「たなの上にあるのはね,お人形なんですよ」と,お人形があることを初めて知らされるわけです.
聞き手は「そうか,お人形があるのか」と納得することになります。そういうことですから,②のA doll is on the shelf.という文はよくない文ということになります.最初のa doll は初めて知らされることがらで,最後の on the shelfはすでに知っていることがらだからです.
(中略)
ここでおちついてしまえはよかったのですが,いつのころかから,普通の文では on the shelf(そのたなの上にある)から言い始めるのはぐあいが悪い,と考えたらしいのです.
確かに,英語の文は,人とかものの名前,あるいはthisとかthatのようなことばで始めるのが普通です.
On the shelfのように「前置詞」で始まるのは,あまり普通ではありません.
ということで.〇n the shelf is a doll.のon the shelf は後ろに回されてしまいました.
On the shelf is a doll.
↓
□ is a doll on the shelf.
しかし,on the shelfを後ろに回したのはいいけれども,is の前がからっぽになり,英語の文としてかっこうがつかなくなってしまいました.
そこで,もともとそこには on the shelfのような「場所」を表すことばが入っていたのですから,「場所」と関係のあるthereを入れることになったのです.
□ is a doll on the shelf.
↓
There is a doll on the shelf.
この文のthereは,もともと「穴うめ」の代用品として入ってきたものですから,本来の意味である「あそこにある」「そこにある」のようなはっきりした意味は失われています.
(以下略)
なるほど、ぼく流に解釈します。
最初は
On the shelf is a doll.「その棚に接触して ツギのものがあります ひとつの人形」
だったのです。相手も分かる「その棚」から始める。そして、説明に入るのです。
しかし、前置詞句から始まると文として少しおかしい、と思うようになった。
だから、on the shelf を後ろに回した。すると、
Is a doll on the shelf. になった。
Is から始まると疑問文のようです。だから、isの前に何かおこうということになった。
もともと場所を表す語句があったのだから、それに関連のあるthere{そこに}に目をつけた。
それで、
There is a doll on the shelf. と現在使われている文ができあがった、ということです。
なるほどね。そういう歴史があったのですね。
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