「カラー版 鎌倉―感じる&わかるガイド」岡田 寿彦, 関戸 勇(著)岩波ジュニア新書
はとてもお勧めです。
まずは最初の部分から引用します。
北鎌倉駅のホームを歩く
「ほっとする」ことができる空間の魅力と、それをおびやかそうとしている動きとのせめぎ合いを肌で感じるためにも、次の鎌倉駅まで電車で行ってしまうのでなく、ぜひ北鎌倉駅で下車してみてくだきい。
北鎌倉駅で下車すると決めて横須賀線の下り列車に乗る場合は、最後尾の車両に乗ることをおすすめします。北鎌倉駅の改札口はホームの鎌倉駅寄りの端にあるので、最も長い15両編成の列車の最後尾の車両に乗ってて来ると、降りてから改札口まで延々300メートルも歩かねばなりません。しかし、この300メートルを電車で運ばれるのと、自分の足で歩くのとでは大違いです。
線路の向こうの上り線ホームで屋根のあるのは改札口の近くだけ。上下線とも外との仕切りは柵になっていて塀はなく、線路をまたぐ橋も地下道もあません。いくらか不便であっても、視線をさえぎるものが少ないのはうれしいことです。豊かな緑のなかに長い歴史の肌が残る風景を四方に見ながら自分のべースで歩き、目をひくものがあったら、しばら<立ちどまって、じっくりなかめる。そんなスタイルで鎌倉に接する人にこそ、鎌倉はその魅力を惜しみなく開いて見せることでしょう。
ホームに降りて大船駅寄りの端から改札口のほうへ50メートルばかり進んだところで、下り線ホームの柵の外を見てください。山のほうに向かってのびる小道があり、突き当たりは石段になっていて、石段脇の標石に刻まれた文字は「八雲神社」と読めます。
石段の上の土地は、鎌倉幕府が陰陽師に、疫病退散を祈る・・・・(後略)
このように鎌倉の歩き方を丁寧に丁寧に描いているのです。
特に1章「鎌倉と出会う 北鎌倉から鶴ヶ丘八幡」はよかった。北鎌倉駅から円覚寺、そして駆け込み寺である東慶寺を通って鶴ヶ岡八幡まで進む道が丁寧に描かれています。
僕らは基本的にその説明に沿って歩きました。
鎌倉の町は観光の街であるだけに、表示板はとてもきちんとしています。それにこの本の文章で道順も書かれているので、ほとんど迷うことなく進むことができました。
普通のガイドブックでは、たぶん見過ごしてしまうようなところまで見ることができました。
その日は観光客がとても多かったです。道を歩く人はかなりいます。でも踏みきりのそばにある「安倍清明の碑」(安倍晴明)に関心を寄せる人は、僕等だけでした。
僕はこの本を片手に説明をちらちらと読みながら歩いて行きました。とてもよかったです。
鎌倉に行く前にまず一読し、そしてガイドブックとしても用いながら鎌倉の街を歩いてみてはどうでしょうか。お薦めです。
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