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セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

スキナーとチョムスキー
 酒井 邦嘉著「言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか 」を前に紹介しました。そして,スキナーに対する批判についても簡単に書きました。

 ここではそのことに焦点をしぼって書いてみます。なお,これはぼくの解釈したスキナーです。

 「特に,人間の行動には心的な原因が存在しないことを前提とした。スキナーは,言語も行動主義のモデルを拡張することで説明できると考えて,『言語行動』と呼んだのである。これは,心を非物質的であるときめつけ,その存在を否定することで心理学を『科学的』にしようというこころみではあったが,内部のメカニズムを極力排除することで非科学的になってしまったのは皮肉な結果である(p42)」


 スキナーについてまったく理解していないと思います。心の存在は,否定できません。ただ,心は見えない。それに関して,ああだ,こうだと類推しては科学にならないのです。 被験者が心について語ることは実験対象になります。
 例えば,「あなたはそのときどう感じましたか。」に対して「うれしかった」と答えたとします。「『うれしかった』と言った」ことは,客観的な事実です。それは,実験対象になります。しかし,そこで「彼はうれしいと思った」としてはいけないのです。心の中を解釈してはいけない。本当にそうなのかは分からないのです。精神分析家はそれをとことんしますね。無意識まで推し量ろうとする。そうなると科学ではない,ということです。
 厳密な実験では,だれでもが観察できることに限ろう,ということであって,「存在しない」とは言っていないのです。
 行動分析学は,疑い深いともいえます。
 ただ,ぼくは日常的にはいろいろな条件から類推しています。これは学問ではなく,実践です。

 「行動主義の研究の特徴は,ハトやネズミのように,内的プロセスを仮定せずにとらえる動物に実験対象を限っていることだ。チンパンジーや人間を対象にすると,意識や記憶の問題を避けて通れないので,あえて対象を限定して,批判を受けないようにガードを固めている」

 これもまったくの無理解ですね。特に応用として行動分析学は対象を人間にまで広げています。障害児教育においては行動分析学に基づくものは多い。研究も多い。また,ぼくは実際教育において行動分析学を用いています。

 さて,ぼくは塾をやっている関係もあって,チョムスキーの生成文法に関心があります。

 チョムスキーとスキナーは,言語に関してかなりの論争を行ったそうです。実はぼくは詳しいことはよく分かりません。スキナーの著書「言語行動」は翻訳されていないと思います。英語を読むのには一大決心がいるのでまだ読んでません。

 さて,そのような段階のぼくですが,チョムスキーとスキナーはまったく相容れないものではないのではないか,と思います。

 確かに,スキナーは学習重視です。しかし,脳や遺伝の影響をまったく排除したわけではありません。
 

「チョムスキーは,自然言語には文を作るための必然的な文法規則があり,これが普遍的かつ生得的な原理であることを提唱した」

そうです。

 つまり,脳の中に自然言語の文法があるのだそうです。
 ぼくは,それを認めてもいいと思います。そうした上で,言語行動の学習がどう行われるかを行動分析学の立場からアプローチすればいいのではないでしょうか。なお,チョムスキーらは,「獲得」と「学習」を区別しているようですが,そうする必要はないように感じています。

 前に読んだ本(ピンカー著「言語を生み出す本能」)でも,この「言語の脳科学」でも,スキナーは完全に負けた,決着はついたというようなことが書かれていました。

 しかし,杉山 尚子 (著)「 行動分析学入門」では,スキナーによる言語行動のことにけっこうなページがさかれていて,負けたとは書いていない。

 どうなっているのかな,と思って,
 次の島宗 理さんのサイト(自然と人間を行動分析学で科学する)を開いてみました。
 そこでチョムスキーを検索すると,

2006/09/23
『チョムスキー入門』
なんとなくだけど、彼のいう「普遍文法」を、あらゆる言語に共通ないくつかの機能としておきかえれば、スキナーとチョムスキーで実はおんなじようなことを言っている可能性もあるんじゃないかとは感じた。

チョムスキーはそれが生得的で遺伝的に組み込まれたメカニズムととらえたのに対し、スキナーは環境と行動の相互作用にある共通性ととらえられないかと論じただけじゃないかと。



 という記述があり,ぼくが考えていることもまんざら的を射てないこともないな,と思いました。



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