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セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

精神と物質
 利根川進氏と立花隆氏の「精神と物質」です。

 とてもおもしろい本でした。だいぶ前に読んだので細かいところは忘れてしまいました。

 ここでは,p255~p257 の部分を転載します。

 ・・・・は,立花隆氏,「 」は,利根川進氏の言葉です。

 立花氏の非科学的な見方,そして利根川氏の徹底した科学的な見方の対比がとてもおもしろいです。

 それから,最近多くの若者が陥っているスピリチュアルな見方に対する正しい科学的な見方を教えてくれるものだと思います。

 掲載文の後もとてもおもしろい話が続くのですが,長くなるのでそれだけにします。ぜひ買って読んでもらいたい本です。




・・・・・・遺伝子によって生命現象の大枠が決められているとすると、基本的には、生命の神秘なんてものはないということになりますか。

「神秘というのは、要するに理解できないということでしょう。生物というのは、もとも地球上にあったものではなくて、無生物からできたものですよね。無生物からできたものであれば、物理学及び化学の方法論で解明できるものである。要するに「生物は非常に複雑な機械にすぎないと思いますね。」

・・・・・・そうすると、人間の精神現象なんかも含めて、生命現象はすべて物質レベルで説明つけられるということになりますか。

「そうだと思いますね。もちろんいまはできないけど、いずれできるようになると思いまよ。脳の中でどういう物質とどういう物質がインタラクト(相互作用)して、どういう現象が起きるのかということが微細にわかるようになり、DNAレベル、細胞レベル、細胞小集団レベルというふうに展開していく現象のヒエラルキーの総体がわかってきたら、たとえば、人間が考えるということとか、エモーションなんかにしても、物質的に説明できるようになると思いますね。いまはわからないことが多いからそういう精神現象は神秘な生命現象だと思われているけれど、わかれば神秘でも何でもなくなるわけです。早い話免疫現象だって昔は生命の神秘だと思われていた。しかし、その原理、メカニズムがここで解明されてしまうと、もうそれが神秘だという人はいないでしょう。それと同じだと思いますね。精神現象だって、何も特別なことはない」

・・・・・・だけど、そういう精神現象まで分子レベルの物質の動きにまでさかのぼって説明をつけようというのは、まあ、いってみれば新幹線がなぜ走るのかを、素粒子までさかのぼって説明をつけようとするようなもので、そこまで説明しだしたら、説明が膨大になりすぎて、エフィシャントな説明にならないでしょう。

「その比喩は、あてはまらないでしょう。今いっているのは、精神現象に物質レベルの基盤があるかどうか、ということです。免疫の問題にしても、分子レベル、細胞レベルの説明をつけてはじめてぼくらは本当の意味の理解ができたと考えるわけですよ。だから、そういうしベルの説明がつくまで研究を重ねてきたわけでしょう」

・・・・・・だけど、精神現象というのは、はたして新幹線や免疫現象のような意味で、物質的基盤を持つといえるんでしょうかね。あれはー種の幻のようなものじゃないですか。新幹線や免疫現象なら、そこに生起している現象も物質の運動であり、物質の化学反応ですね。だからとことん物質レベルで説明をつけることに意味があるだろうけど、精神現象というのは重さもない、形もない、物質としての実体がないんだから、物質レベルで説明をつける意義があまりないと思いますが。

「その幻って何ですか。そういう訳のわからないものを持ち出されると、ぼくは理解できなくなっちゃう。いま精神現象には重さも、形もない、物質としての実体がないとおっしゃいましたが、こういう性状を持たないもの、例えば電気とか磁気も現代物理学の対象になってるわけです。ぼくは脳の中で起こっている現象を自然科学の方法論で研究することによって、人間の行動や精神活動を説明するのに有効な法則を導き出すことが出来ると確信しています。そのあかつきには、いま立花さんが幻だと思っておられることも『なるほど』と思われるようになるでしょう。要は、人間がもろもろの対象を理解するのに、過去においてこれだけすばらしい効果を挙げてきた自然科学の方法を、人間の精神活動を司っている脳にあてはめないという手はないし、実際そうすれば、立花さんが今考えておられるよりも、もっともっといろいろな事がわかるだろうということです。そこまでいかないレベルで説明をつけようというのは非科学的でナンセンスだと思いますね。
  あのね、こういう話がある。あるときアフリカの未開の部族を訪ねたイギリス人が、そこの若い男の子が非常に優秀なのを発見してイギリスへ連れて帰り、ケンブリッジで教育を受けさせた。少年は有能な医者になった。あるとき、故郷の村で変な病気が蔓延し、村の人々がバタバタ死んでいるという話を聞き、それを救おうと村に帰った。ところがそれから消息を絶ってしまった。それでイギリスの友人たちが心配して、村をたずねていった。すると酋長が出てきて、説明していうには、その男は非常に優秀だった。おかげで村の人人はみんな助かった。それでみんなでその男を殺してその脳をわけ合って食べてしまった。脳を食べれば、あの男の頭のよさがみんなに分け与えられると思ったという。非科学的な説明に納得するというのは、この酋長のような説明に納得するというのと、本質的には変らないことですよ」

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