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セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

バッテリーⅣ




 この巻,ストーリーとしておもしろいです。
 少年が壁にぶちあたってしまうという話です。なかなか傷が深い。

 結論は分かったが,もっと詳しいことを話してくれよ,といっても,著者はもったいぶって,最初は少しずつ少しずつ。そうして物語に引き込まれていきます。うまいですね。


 さて,このⅣには,「3歳の巧を描いた文庫だけの書き下ろし短編『空を仰いで』」が載っています。

 そこから抜粋します。

 巧の祖父洋三は,元高校野球の監督。しかし,妻の余命が最短で1年と告げられます。


「それで、わたしは、何をすればいいんでしょうか」
  監督、おれ、何をすればいいんですか。
子ども達がそんなことを訊いてきたなら、躊躇も容赦もなくー喝していただろう。
馬鹿者、自分がせんといけんことぐらい、自分の頭で考えてみぃ。
自分の頭で考え、探し、答えを手にした者は強い。強くなる。プレイヤーとしてだけではなく、人間としての強靱さを身につける。指導者とは、己の意のままに選手を動かせる者のことではなく、一人の人間として自分を尊び信じることのできる強靱さを若い魂に教える者のことだ。確信し、身体能力とともに思索の力を重んじてきた。なのに、今、頭の中で羽虫が飛ぶ。思索どころではない、何も考えられず息子ほどの年齢の医師に縋(すが)ってってしまう。
「何をすればいいんでしょうか、先生。教えてください」

(セルフラーニングの塾をやっていて,生徒が習いに来たとき,よく言います。
「自分で考えなさい。セルフ塾は,自分で学ぶからセルフなんだよ」と。
 もちろん,教えもしますけどね)



医師の診断を伝えたわけではないのに、聖名子は、自分に下された余命の時間をちゃんと察していた。
「大丈夫ですよ」
ベッドの上で髪をなでつけながら、こともなげに笑った。
「わたしは巳年じゃからね、しぶといの。あんたも、よう知っとるでしょ。そうそう、お医者の言うようにはならんからね。心配しなくてええですよ。ちゃんと鍛えてあげますから」
「鍛える?  誰を?」
「あんたに決まっとるじゃないですか。何を言うてるの。わたしがいなくなっても困らないように、一人暮らしのコッを教えてあげます。しっかり鍛えてあげるから、覚悟しときんさいよ」
そう言って、にやりと笑った妻の顔を洋三は、半ばあっけにとられて見つめていた。
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