さて,CHAPYYYさんの質問は,
「価値観」,「感動」、「夢」でしたね。
こういうのを自由意志,決定論との関連で考えるのは,初めてです。そのような機会を作ってくれた質問に感謝します。なお,ぼくの独断と偏見がだいぶ入った回答です。
「価値観」
前にシュプランガーの価値観について書きました。真理,審美,経済,権力,宗教,愛 でした。
真理を求める人。以前NHKで見たのですが,好奇心の遺伝子が見つかったのだそうです。その遺伝子をもっている人は新しいものにすぐにとびつくとのこと。いま,「NHK 好奇心 遺伝子」で検索すると次のページがでてきました。
http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-special/library/library_jintai_3.html
そこに書いてあったこと。
No.1179 驚異の小宇宙・人体3 遺伝子・DNA 第5集 秘められたパワーを発揮せよ~精神の設計図~
初回放送:1999.08.10 放送時間:54分 総合テレビ
ある特定のタイプの遺伝子を持っていると、好奇心を抱いたり、不安になる傾向が強くなるという。これらの遺伝子は、「脳内神経伝達物質」の働きと深く関わっていることが分かってきた。今、次々と明らかになる「心の遺伝子」の世界を探る。
つまり,好奇心の強い,弱いというのは,遺伝子レベルでかなり決められているようなのです。真実を知りたいという価値観を持つ人はその段階でだいぶ決定されていると言えるでしょう。もちろん,環境の影響も無視できないでしょうが。
なお,ぼくの記憶では,好奇心が強すぎるために,仕事を転々と変える人が出ていました。少しやるとつまらなくなり,別の新しいのに飛びつくのでしょうね。それもまた大変。
美に価値をもつ人。 人間の脳には「美」を好むように組み込まれているようです。赤ちゃんも美しい人が好きです。赤ちゃんが好きかきらいかどのように知ることができるかって? 美しい人を長い間みつめているのです。美しい人とブスの人を赤ちゃんは判断し,美しい人を好むのです。その傾向にたぶん差があるのでしょうね。そこの違いはぼくにはまだ分かりません。
お金に価値をもつ人。 バーを押したら食べ物が出てくる。サルはそれをすぐに学習します。さてさて,バーを押したらお金が出るようにします。もちろん,本物のお金でなくてもいいです。ただ,それはいくらか貯めると,食べ物など,好きなものと交換できるということも学習させるのです。サルは学習できます。すると,どうでしょう。必要以上にお金を貯めるようになるのです。お金を貯めることに価値をもつサルを作り上げることができるのですね。たぶん,人間もこのような学習の中でお金に価値をもつ人ができあがったのでしょう。
権力に価値をもつ人。 ニホンザルには,ボスざるがいます。ボスざるは権力を握っています。ボスざるは多くの雌ざるを従え,それらとセックスをし,自分の子どもをたくさん作ることができます。権力を握った方が自分の遺伝子を残すことができるのです。だから,権力には価値がある。
人間の場合は,セックス,遺伝子ではないでしょうが,権力があるとお金も得られますから,経済人と似たようなものではないでしょうか。
宗教は家庭環境などが大きいのではないでしょうか。お母さんが敬虔なクリスチャンだと,子どももいっしょに教会に行くでしょう。そしてイエスさまの話をたくさん聞く。すると,敬虔な信者になっていくのではないでしょうか。
愛は,確実に脳の中に備わっています。ぼくが思うに,これはだれでもがかなり強く持っている。しかし,他の価値が強いとそれが相対的に弱くなってしまうのではないでしょうか。
以上,簡単ではありますが,「価値観と決定論について」とさせていただきました。(結婚披露宴のあいさつ風)
「感動」、「夢」について
いろいろな環境に適応するために,人間はその進化の中で「意識」というのを生み出した,というようなことを書きました。正確に言えば,「意識」が生まれた動物は,よりよく環境に適応し,生き残ることができたということでしょう。
さてつい最近,ぼくが感動した話を書きます。「これが正しい!英語学習法」の中にありました。かなり簡単にします。
姉は病気だった。輸血が必要。弟から輸血をすることができる。
ドクターが弟にいいました。
「お姉ちゃんにあなたの血をあげることできる? そうすればお姉ちゃんの病気は治るのだけど」
弟はしばらくためらったのち「うん,いいよ。それでお姉ちゃんが助かるなら」
そして手術を迎えました。弟の顔は真っ青になっています。そして言いました。「ぼく,もうすぐ死ぬんだね」
幼い弟は誤解していたのです。自分の血をすべて姉にあげると思っていたのです。
どうですか。感動的な話です。もし,感動しなかったのならぼくのまとめ方が下手だったのです。ぼくは涙が流れそうになるくらい感動しました。
自分の死と引き替えに,姉の生を残そうとした,犠牲的行動,それに人は感動するのです。
人間は,感動することによって,それをモデルにするようになるのではないでしょうか。そのような話に感動した人は自分を犠牲にすることをいとわなくなるでしょう。すると,それが多くの遺伝子を残すことにつながっていきます。
だから,感動も必然なのです。
同じように,夢も必然です。人間は,夢を持つことによって,前向きに積極的に生きることができます。すると,遺伝子は立派に残っていきます。夢を持っている人は魅力的です。生き生きとしています。そういう人には異性も寄ってきます。CHAPYYYさん,あなたも夢を持っている人が好きでしょう。
すると,遺伝子も残せる。
このように,感動も夢も必然です。しかし,それが必然だからといって感動が薄まるわけではありません。夢がつまらなくなるものではありません。
必然性の中で,大いに感動し,そして夢を持っていきていくこともできるのです。
「価値観」,「感動」、「夢」でしたね。
こういうのを自由意志,決定論との関連で考えるのは,初めてです。そのような機会を作ってくれた質問に感謝します。なお,ぼくの独断と偏見がだいぶ入った回答です。
「価値観」
前にシュプランガーの価値観について書きました。真理,審美,経済,権力,宗教,愛 でした。
真理を求める人。以前NHKで見たのですが,好奇心の遺伝子が見つかったのだそうです。その遺伝子をもっている人は新しいものにすぐにとびつくとのこと。いま,「NHK 好奇心 遺伝子」で検索すると次のページがでてきました。
http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-special/library/library_jintai_3.html
そこに書いてあったこと。
No.1179 驚異の小宇宙・人体3 遺伝子・DNA 第5集 秘められたパワーを発揮せよ~精神の設計図~
初回放送:1999.08.10 放送時間:54分 総合テレビ
ある特定のタイプの遺伝子を持っていると、好奇心を抱いたり、不安になる傾向が強くなるという。これらの遺伝子は、「脳内神経伝達物質」の働きと深く関わっていることが分かってきた。今、次々と明らかになる「心の遺伝子」の世界を探る。
つまり,好奇心の強い,弱いというのは,遺伝子レベルでかなり決められているようなのです。真実を知りたいという価値観を持つ人はその段階でだいぶ決定されていると言えるでしょう。もちろん,環境の影響も無視できないでしょうが。
なお,ぼくの記憶では,好奇心が強すぎるために,仕事を転々と変える人が出ていました。少しやるとつまらなくなり,別の新しいのに飛びつくのでしょうね。それもまた大変。
美に価値をもつ人。 人間の脳には「美」を好むように組み込まれているようです。赤ちゃんも美しい人が好きです。赤ちゃんが好きかきらいかどのように知ることができるかって? 美しい人を長い間みつめているのです。美しい人とブスの人を赤ちゃんは判断し,美しい人を好むのです。その傾向にたぶん差があるのでしょうね。そこの違いはぼくにはまだ分かりません。
お金に価値をもつ人。 バーを押したら食べ物が出てくる。サルはそれをすぐに学習します。さてさて,バーを押したらお金が出るようにします。もちろん,本物のお金でなくてもいいです。ただ,それはいくらか貯めると,食べ物など,好きなものと交換できるということも学習させるのです。サルは学習できます。すると,どうでしょう。必要以上にお金を貯めるようになるのです。お金を貯めることに価値をもつサルを作り上げることができるのですね。たぶん,人間もこのような学習の中でお金に価値をもつ人ができあがったのでしょう。
権力に価値をもつ人。 ニホンザルには,ボスざるがいます。ボスざるは権力を握っています。ボスざるは多くの雌ざるを従え,それらとセックスをし,自分の子どもをたくさん作ることができます。権力を握った方が自分の遺伝子を残すことができるのです。だから,権力には価値がある。
人間の場合は,セックス,遺伝子ではないでしょうが,権力があるとお金も得られますから,経済人と似たようなものではないでしょうか。
宗教は家庭環境などが大きいのではないでしょうか。お母さんが敬虔なクリスチャンだと,子どももいっしょに教会に行くでしょう。そしてイエスさまの話をたくさん聞く。すると,敬虔な信者になっていくのではないでしょうか。
愛は,確実に脳の中に備わっています。ぼくが思うに,これはだれでもがかなり強く持っている。しかし,他の価値が強いとそれが相対的に弱くなってしまうのではないでしょうか。
以上,簡単ではありますが,「価値観と決定論について」とさせていただきました。(結婚披露宴のあいさつ風)
「感動」、「夢」について
いろいろな環境に適応するために,人間はその進化の中で「意識」というのを生み出した,というようなことを書きました。正確に言えば,「意識」が生まれた動物は,よりよく環境に適応し,生き残ることができたということでしょう。
さてつい最近,ぼくが感動した話を書きます。「これが正しい!英語学習法」の中にありました。かなり簡単にします。
姉は病気だった。輸血が必要。弟から輸血をすることができる。
ドクターが弟にいいました。
「お姉ちゃんにあなたの血をあげることできる? そうすればお姉ちゃんの病気は治るのだけど」
弟はしばらくためらったのち「うん,いいよ。それでお姉ちゃんが助かるなら」
そして手術を迎えました。弟の顔は真っ青になっています。そして言いました。「ぼく,もうすぐ死ぬんだね」
幼い弟は誤解していたのです。自分の血をすべて姉にあげると思っていたのです。
どうですか。感動的な話です。もし,感動しなかったのならぼくのまとめ方が下手だったのです。ぼくは涙が流れそうになるくらい感動しました。
自分の死と引き替えに,姉の生を残そうとした,犠牲的行動,それに人は感動するのです。
人間は,感動することによって,それをモデルにするようになるのではないでしょうか。そのような話に感動した人は自分を犠牲にすることをいとわなくなるでしょう。すると,それが多くの遺伝子を残すことにつながっていきます。
だから,感動も必然なのです。
同じように,夢も必然です。人間は,夢を持つことによって,前向きに積極的に生きることができます。すると,遺伝子は立派に残っていきます。夢を持っている人は魅力的です。生き生きとしています。そういう人には異性も寄ってきます。CHAPYYYさん,あなたも夢を持っている人が好きでしょう。
すると,遺伝子も残せる。
このように,感動も夢も必然です。しかし,それが必然だからといって感動が薄まるわけではありません。夢がつまらなくなるものではありません。
必然性の中で,大いに感動し,そして夢を持っていきていくこともできるのです。
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