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セルフ塾は閉めましたが、そのままの名前でブログを続けます。独学,独習。教わるより,学ぶを重視。 セルフラーニングの方法,英語,数学などの情報を発信するつもりです。

コンコルドの誤り と 英文法用語「現在完了」



 長谷川 真理子「科学の目、科学のこころ」に「コンコルドの誤り」というのがありました。

コンコルドは、開発の最中に、たとえそれができ上がったとしても採算の取れないしろものであることが判明してしまった。つまり、これ以上努力を続けて作り上げたとしても、しょせん、それは使いものにならない。ところが、英仏両政府は、これまでにすでに大量の投資をしてしまったのだから、いまさらやめるとそれが無駄になるという理屈で開発を続行した。その結果は、やはり、使いものにならないのである。使いものにならない以上、これまでの投資にかかわらず、そんなものはやめるべきだったのだ。

 このように、過去における投資の大きさこそが将来の行動を決めると考えることを、コンコルドの誤りと呼ぶ。(p14)



 旧パラダイムに慣れ親しんで研究してきた学者たちは、それがすでに誤りであることを示されても、なかなか旧パラダイムを捨てようとしない。それはまさに、現在の手持ちの仮説の中でどれがー番将来性のありそうな理論であるかという検討に基づくのではなく、これまで自分が大量の投資を行なってきた理論を捨てたくないという、コンコルドの誤りであるように思われる。(p16)



 ぼくはそのコンコルドの誤りを,英文法の用語について感じています。

 いま使われている英文法用語には,その名が実体を現さないのがあります。
 現在分詞,過去分詞,現在完了などです。不定詞は間違えているわけではないが,理解しにくい用語です。

 その中でも最悪のものは現在完了です。それについては次のページに書きました。

 http://selfyoji.blog28.fc2.com/blog-entry-14.html

 簡単に書きます。
 have + 過去分詞を「現在完了」といいます。その中には次のような文もあります。
 I have lived here for three years.
意味は「私は3年間ずっとここに住んでいます」です。今もここに住んでいるという意味が含まれています。つまり「完了」していないのです。そういう文を「現在完了」という用語で説明するのは学ぶ者が混乱するので直したほうがいい,というのがぼくの考えです(ぼくだけではありません)。

 have + 過去分詞 の文の本来の意味は,現在を中心としながら,その現在の状態をつくり出した過去に連なることもいっしょに含めてのべる言い方です。
 ぼくは,それで「連過現在」という用語を造り出し,使っていました。「過去に連なる現在」ということで。
 しかし,後で遠山顕先生が「現在中心」という語の方がいいとおっしゃっているようですし,いろいろ検討して,ぼくも「現在中心」がいいと思っています。

 さて,このことをmixiの「授業の工夫」で意見交換を行ったことがあります。ぼくが,「現在完了」という用語をやめよう,というトピをたてたのです。その中で「現在中心」というのを遠山顕先生が使っているよ,とだれかに教えてもらったように思います。

 いろいろ議論を重ねていくうちに,ぼくの言っていることを理解してもらって,「現在中心」がいい,という方向へ傾いてきました。

 ところが,「現在中心」の方がいいとは思うが,これまで「現在完了」を使ってきて,慣れ親しんできたのだから,いまさら変える必要はないのではないか,という意見が出て,それに賛同する人がどんどん出てきたのです。そして大勢はその方向になってしまいました。

 これこそ,「コンコルドの誤り」なのではないでしょうか。いまの段階で「現在中心」がいいと思うのならば,それに変えてしまった方がいいのです。

 「現在完了」という用語で説明されるより,「現在中心」で説明された方が生徒は楽にそのことを理解できるはずです。生徒にとって何がいいのかを考えれば,ぼくらが慣れ親しんだ用語を捨ててしまうのもいいのではないでしょうか。
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名と実
Yojiさん
いつも勉強になります。ありがとうございます。
私はto~はとか、have+p.p.は~、という言い方をします。これなら訳語に惑わされることがないという理由からです。

形、意味(~してしまった、内容(過去にはじめたことが今終わっている。)は重要でも、文法用語はたいせつではないと感じております。

呼ぶとしたら過去現在とか連過現在の方がたしかに実体に近そうですね。

コンコルド勉強になりましたV(^-^)V
ヒカリ | URL | 2008/11/09/Sun 23:23[EDIT]
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